ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市のチャイニーズ・カルチャーセンターで5月28日、第2回アジアン・ダンス・フェスティバル〜Together〜が開催された。 昨年は、開催国である中国と韓国のダンスだけが披露されたが、ことしは日本やポリネシアも加わって、さらに見どころの多いフェスティバルとなった。

 

出演者たち

 

多文化の理解を深めるために

 主催者であるチャイニーズ・カルチャーセンター・オブ・グレーターバンクーバーの会長フレッド・クワック氏は開会のあいさつで「当センターは43年の長い歴史を持ちますが、その理念は中国の文化を促進していくと共に、多文化とのコミュニケーションであります。その一環として、本日開催されるこのイベントが多文化との理解を深め、さらに友情を育むものであると信じています。ことしは日本とポリネシアも加わり、さらに豊かでユニークなステージとなることでしょう」と語った。

 また、共同主催者のKO-CA・ファンデーション・フォー・カルチャーエクスチェンジ・アソシエーション副会長・リナ・ソング氏もこのイベントの趣旨を「私たちが住むこのコミュニティには沢山の文化が存在しますが、このイベントを通して、その存在を認め、相互理解に役に立つことを願っています」と語った。

多様なダンス

 プログラムの最初と最後に登場したのは、中国のゴールデンメープル・ダンスグループ。艶やかな赤の衣装を身にまとった12人の女性が2千年の歴史を持つという中国西部の古典舞踊を華やかに舞った。最後に登場した時は鮮やかな黄色の衣装。息の合ったダンスでショーの最後を華やかに締めくくった。ショーに出演した感想をメイ・ウーさんは「違うタイプのダンスを見るのは楽しいですし、そこから学ぶことも多い」、ビッキー・ジンさんは「今日の一番の目的は多文化のお祝いです!」と興奮気味に話した。

 次に登場したのは、パシフィカポリネシアン・ダンサーズ。ハワイ、ニュージーランド、タヒチのダンスを披露し、会場は一気に南国の雰囲気に包まれた。

 日本からは3組がそれぞれの日本舞踊を披露。藤間左由(コリーン・ランキ)さんは『廓八景(くるわはっけい)』を披露。藤間さんの勇ましく雄弁な舞に観客は引き込まれた。次に音羽流のジャクリーン・イナバさんと神谷キミさんが晴れやかな水色と桃色の着物で登場し、『舞妓』を踊った。そして音羽雛明(小森明美)さんと宮西セツさんによる『富士』。先ほどのみずみずしい踊りとは異なり、熟練の堂々とした踊りで観客は日本舞踊が持つ独特の雰囲気に酔いしれた。ショー終了後、藤間さんは「舞台のできに満足しているし、違う文化を持つグループが一緒になって、経験を分かち合うことには大変意味がある」とコメントを述べた。

 そのあとは、中国のバンクーバー・キャセイフューチャー・センターズ・チルドレンの子供たちによる歌。中国の民族衣装を着た子供たちが伸び伸びと歌い、歌の楽しさが伝わってきた。 

 そして、開催国でもある韓国の登場だ。こちらも3つのグループが3種類の異なる踊りを披露。色鮮やかな民族衣装を身にまとった美しい女性たちによる古典舞踊。太鼓や鐘を打ち鳴らし迫力いっぱいの楽しいリズムとの舞は会場の拍手を巻き込み、一気に盛り上がった。

 今回は『古典』をテーマにしたダンスで、どれも歴史の長さ、豊かさを感じさせるものがあった。各国の民族衣装はどれも色鮮やかで、独特の美しさがあり、次の世代へと継承していきたいものだ。

 フレッド・クワック氏は閉会のことばで「私たちは、政治を抜きにして、芸術を通して一体となれるよう期待している。このフェスティバルのスローガンがTogether(共に)であるように」と結び、「来年は、ことしより設備も内容も充実させ、もっと多くの人に足を運んでもらい喜んでもらいたい」と次回の抱負を語った。

(取材 福安 恵子)

 

藤間左由(コリーン・ランキ)さん

 

音羽流のジャクリーン・イナバさん(左)と神谷キミさん

 

音羽流の音羽雛明(小森明美)さん(左)と宮西セツさん

 

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