いきなりのレッドカードに好カードが水を差された。この日は今季最多超満員の2万7千人が詰めかけ、2連勝と波に乗ってきたホワイトキャップスと強敵LAギャラクシーとの一戦に期待は膨らんでいた。
この日のMan of the Matchに選ばれたGKウーステッド
4月2日(27,038)
バンクーバー ホワイトキャップスFC 0 -0 LA・ギャラクシー
28分、ホワイトキャップスMFラバ(#15)が相手へのスライディング行為を反則とみなされ退場処分。その後、両チームともチャンスを生かせず無得点に終わった。
工藤、1試合出場停止
FW工藤(#9)の名前は先発イレブンにも、控えにもなかった。この日、工藤は1試合出場停止処分を受けていた。
3月26日、BCプレースでのヒューストン・ダイナモ戦。守っていたヒューストンの選手がゴール近くで果敢に攻めていた工藤に激しいスライディングをして、工藤が倒される形となった。このヒューストンの選手の行為を主審は反則とし、ゴールエリア内だったため、ホワイトキャップスにPKのチャンスが与えられ、MFモラレス(#77)がゴール。試合は結果的にこの1点で決まった。
3月26日の試合後、ヒューストンの監督は記者会見で、あのプレーはPKを取られるプレーではなかったと繰り返し主張していた。
その後MLS(メジャーリーグサッカー)規律委員会は、工藤が倒れ込んだプレーに対し、シミュレーション(ファウルをされたふりをする行為)と判断し、3月31日工藤の1試合出場停止処分を発表した。
出場停止処分のこの日、工藤は試合開始前のファンイベントに参加。サイン会でファンサービスを行っていた。
10人で引き分けに持ち込み勝ち点1
約60分間、10人で戦うことを強いられたホワイトキャップスだったが、無失点を守り抜いた。退場騒ぎが起こる10分前には、キャプテンのモラレスが足を痛め交代。前半終了直前にはMFマニー(#23)も負傷交代した。ホワイトキャップスにとって不利な展開が続いたが、「チーム一丸となってよく戦った。キャップスというチームのいい性格が現れた試合だった」とロビンソン監督は選手たちを労った。
モラレス退場後、キャプテン代理も務めたGKウーステッド(#1)はスーパーセーブを連発。ギャラクシーは得点力で知られるチームだがと問われると「キャップスは守備力で知られているチーム」と笑った。70分のギャラクシーの決定的なゴールチャンスを阻止した場面は「顔面でボールを受けた」と苦笑いした。
キャップスにとっては意味ある大きな引き分け。ここまで2連勝と今季ようやく波に乗り始めたチームが、ピンチを一丸となって乗り切り、勝ち点1をつかみとった。今後2試合はアウェーが続く。負傷退場した2選手の状態は「あまりよくない」とロビンソン監督。退場処分のラバも次試合は出場停止となり、状況は厳しい。ただ工藤は次試合では復帰、国際試合出場からの復帰だったため、この日はベンチスタートだったベテランMFボラノス(#7)もフル出場が期待できる。
レッドカードに疑問符
ギャラクシーのアリーナ監督は、この試合のレッドカードについてはリプレーを見ていないのでコメントできないとしながらも、「今季のリーグはレッドカードが多すぎる」と頻発するレッドカードに疑問符を投げかけた。「試合をダメにするし、試合の面白さを半減させる。選手はもちろんファンも喜びはしないだろう」と語った。
ロビンソン監督も「同意する」と語った。「ファンはお金を払ってトップ選手11人対11人のいい試合を期待している」と語り、この日のレッドカードに対しても「ボールを持っている選手に対してタックルしたら退場させられた。理由が分からない」と語った。
GKウーステッドは「リーグが選手を守ろうとしているのは分かるが、判断に間違いが起こると、試合自体を壊してしまい選手にとっても利益にはならない」と語り、リーグも選手もMLSをいいリーグにしようという気持ちは同じだが、選手として時には声を上げる必要もあると語った。
ホワイトキャップスは3月31日にも、疑問の残るリーグの判断でこの日の工藤の出場停止を受けたばかり。ロビンソン監督は、この日のレッドカードに対しアピール(不服申し立て)するとも語った。
(取材 三島直美 / 写真 斉藤光一)
レッドカードを受けるMFラバ(#15)。会場からはLAと審判に大ブーイング
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