2月29日、UBCアジア・センター内で一般参加者を対象に茶道紹介が行われた。これは在バンクーバー日本国総領事館とUBC日本研究センター、裏千家淡交会バンクーバー協会、表千家バンクーバー共催によるもので、同センター内の茶室『和光庵』で裏千家と表千家の点前を約30人が見学。茶道具が展示された講堂では、訪れた人たちに呈(てい)茶が振舞われた。
UBCアジア・センター内の茶室『和光庵』で行われた茶道デモンストレーション
『和光庵』
除夜の鐘として用いられる『平和の鐘』、アジア図書館があるUBCアジア・センターだが、その奥に茶道ギャラリーと茶室『和光庵』があることを知る人は少ない。これは1980年代にアジア・センターがオープンした際、当時の鵬雲斎千宗室家元がセンター内に二畳茶室『和光庵』を寄贈したもので、1984年には家元夫妻を迎えて落成式、祝賀会が開かれた。
今回、裏千家と表千家による茶道紹介が発表されると、2回のデモンストレーション席は参加希望者ですぐに満席になったという。
茶道の歴史
冒頭で紋付袴姿の在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏が、千利休から始まる三千家の流派について説明。外務省入省時に茶道に出会ったという岡田総領事は「細かな作法はあるものの、大切なのはお茶を楽しむことです」と参加者たちに語りかけた。
岡田総領事夫妻を正客・次客に迎えて点前が披露される中、裏千家からキース・スナイダー裏千家出張所駐在講師、表千家からまい子・ベアー先生が、動作や作法について説明すると、参加者たちは身を乗り出してその様子を見入った。
UBCの学生モーリーさんとへザーさんは「新渡戸庭園内の茶室『一望庵』でクレイトン先生からお茶を習っています。今日はここに来るのが楽しみでした」と、白い靴下を持参して講堂の簡易畳の上で説明を受けた。
和敬清寂
「今回、裏千家、表千家合同で茶の湯の紹介ができたことをうれしく思っています。それぞれ道具の扱いに違いはありますが、茶道の精神は同じです。わび茶というものは亭主と客が気持ちを一つにすること、ここから和敬清寂が生じるのです」とスナイダー先生。「日本研究センターのご協力により『和光庵』をこのように使用し、一般の方々に茶道ギャラリーに入っていただき、その落ち着いた雰囲気を味わっていただけたことと思います。この素敵な茶室が今後も時々お茶に使われるといいですね」とまい子・ベアー先生。
岡田総領事は「参加者の中には学校の先生も多く、まず自分が理解してから生徒に茶道デモンストレーションを見せたいと意欲的でした。裏千家と表千家の違いについて質問が出ましたように、抹茶の点て方、袱紗(ふくさ)の色や点前にも細かな違いがあるようですね。今日はとても勉強になりました」と感想を述べた。
(取材 ルイーズ 阿久沢)
二畳茶室『和光庵』
茶道ギャラリーに着席した出席者に茶道の解説をするキース・スナイダー裏千家出張所駐在講師。その奥が二畳茶室『和光庵』
(左から)UBCの学生へザーさんとモーリーさん。点前席のカラ・後新門(ごしんもん)さんはカナダ生まれの日系4世。「2年前に茶道を始めました。お茶を学びながら日本の文化や伝統を感じています」と話す
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