ダウンタウンのグランビルストリートにある『Kitto/吉桃』とキツラノ地区にある『Zest』、2店舗の日本食レストランを経営する片岡以織(いおり)さん。 単身バンクーバーに来てから今まで、がむしゃらに走り、多くの人々に支えられながらここまで来た。「商売も会社も『人』が基本。人とのよい繋がりから何もかも生まれると思っています」と経営理念を語る。 「お客様の声が経営への原動力となった」 片岡さんがレストラン経営の道に足を踏み入れたのは、1989年知人から「参加してみないか」と誘われたことがきっかけだった。翌年、ロブソンストリートに『Kitto/吉桃』1号店を開店。 それから9年、『Kitto』を一人で経営することになった。「90年に始めた時も、一人になった時も、苦労はありました。でも、来てくださっったお客 さまが『おいしかった』と声を掛けてくれたり、メニューについてアドバイスをくれたり、いつも支えてくれました」と振り返る。 時代の移り変わりとともに、バンクーバーの日本食レストラン事情も大きく変化してきた。その中にあって17年間続いている秘訣を聞くと、「とにかく周りを見ずに、自分たちがやらなければならないことを一生懸命やって来た結果だと思います」と笑顔で語る。 料理への情熱に打たれて『Zest』を開店 立地的条件から、年齢を問わずにカジュアルに日本食を楽しんでもらおうというコンセプトから始まった『Kitto』。今もその方針は変わらず、炉端や寿司などを新鮮かつリーズナブルな価格で提供している。 「2時間ほどかけてゆっくり食事を楽しんでほしい」という『Zest』 それに対して、シェフの『食』に対する情熱に惚れ込んで開店したのが『Zest』。京風高級日本料理をコンセプトに、店に一歩足を踏み入れると、そこは 現実から離れ、ゆっくりと時間が流れる、束の間の贅沢な空間。新鮮な素材とシェフこだわりの創作料理、料理に合わせたワインや日本の地酒も豊富に取りそろ えたこだわり志向のレストランになっている。 「私がやってみたいと思っていたコンセプトのレストランです。これが実現したのも、適材適所な人たちとの出会いと協力があったからだと感謝しています」 まだまだ夢はふくらむ。この秋には新プランも 『Kitto』は今年の秋、全面改装する。「やっぱり店も人間と一緒で歳を取ると少し『整形手術』が必要かなと思って」と笑う。 『Zest』の方も「バンクーバーで一番」が目標のシェフ達とともに、新メニューやワイン、日本酒の充実とこれからも忙しい。 経営者として、レストランの立ち上げから全ての事務的な仕事をこなし、開店してからはビールを運んだり、接客をしたり、スタッフの私生活の相談まで受け たりと、ありとあらゆる役割をカバーしてきた。「レストラン経営なんて大変なことも多くて、勉強、勉強の毎日ですけど、いろいろな人と接することができる し、なにより楽しいです」と目を輝かせる。 そんな片岡さんの息抜きは、13歳になる娘さんとゴルフや小旅行を楽しむこと。家族のサポートも大きな力になっている。「まだまだやりたいことはたくさんあります。とりあえずこの冬には新プランを考えています。お楽しみに」と意欲を語った。
(取材 三島直美)
『Kitto/吉桃』 住所:833 Granville St. Vancouver TEL:604-687-6622 営業時間:日〜木11:30am〜10:30pm 金/土 11: 30am〜11:30pm 『Zest』 住所:2775 West 16th Avenue, Vancouver TEL:604-731-ZEST(9378) 営業時間:5:00pm〜10:00pm 月曜定休 |
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