「二十歳、おめでとう!」
1月11日午後、バンクーバー市内にあるランガラカレッジで、英語研修中の拓殖大学(本部、東京都)の学生9人が、両大学関係者や来賓、ホームステイ先の家族、友人らに見守られ、成人式に臨んだ。
成人式に出席した拓殖大生9人とランガラカレッジ・拓殖大学代表、来賓ら
9人の拓殖大学新成人
堀樹人さん
前原亮太さん
宮崎晶平さん
大澤研太さん
佐々木寿菜さん
佐藤剛志さん
田中万優さん
山下実穂さん
山本泰平さん
■カナダで成人式
拓殖大学のランガラカレッジ英語研修プログラムは1978年から始まった。
80年代、同プログラムのコーディネーターの一人が、二十歳を迎えるその年の研修生のために成人式をと提案。日本での大切な節目の歳の式に参加できない留学生が、カナダで経験できるようにということからだった。以来、毎年1月、「拓大プログラム」の学生のために成人式を開いている。
当初は、バンクーバー市庁舎で、市長らの列席で催されていた。現在はランガラカレッジのキャンパス内で、両校からの代表者、在バンクーバー日本国総領事館からの代表者、留学生のホームステイ先家族や友人らを招いて催している。
■特別な思い出となる式
「拓殖大学からの留学生は、プログラム開始以来800人以上。そのうち、ここで成人式に臨んだのは100人以上」と、国際教育学部のバレリー・ピーターズ部長は語る。「特別な式なので、当校にとってもうれしいこと」と言う。
拓殖大学の学生にとっても忘れがたい思い出となる。式で、一人ひとりがスピーチを行う。「日本での大規模な成人式では味わえない感動」という声が返ってくる。
以前、拓殖大生ではないが、この成人式に参加させてほしいと言ってきた日本人学生がいた。父親の仕事の関係で海外に住んでいて、日本での成人式に参加できなかったからだ。「その願いは実現し、学生はとても喜んだ」とピーターズ部長は振り返る。
■「お世話になった人々への感謝を忘れずに」
成人式は、まずピーターズ部長が開会の辞を述べた。次に、ランガラカレッジを代表してビジネス戦略・発展学部のイアン・ハンフレイズ副学部長が祝意を表した。
「当校が、成人となる留学生のために式を開くことができ光栄に思う。海外からの若い学生たちが、異文化の中で壁に突き当たっても、勇気を奮い起こして立ち上がる姿に感動してきた。回復力ある精神をもってこれからの人生を歩んでいってほしい」。
在バンクーバー日本国総領事館からは内田晃首席領事がスピーチを行った。
「成人」の法的根拠、親・保護者などこれまで世話になり支援してもらった日本とカナダの人々への感謝の気持ち、日本の将来を牽引していくためにも英語能力の向上、異文化への理解、歴史は繰り返すともいわれるので、古今東西の古典についての学び、幅広い教養の習得などについて語った。
内田首席領事はさらに、「苦労や困難に直面し挫折することもあるかもしれない。しかし、そういう状況が起こりうることを予想しておくとダメージ・コントロールしやすい」と、人生の荒波を乗り越えるこつを伝授。「苦しくなってきたら、早めに信頼できる人に話し相談することもよい」と述べた。
拓殖大学を代表してランメル幸さんは、「精神面・知識面で成長するには、まだ長い道のりがある。自分自身を大切に、よく学び、ランガラのコースを修了してほしい」と期待を込め祝った。また、ランメル・チャールズさんも、「これまでの『心地よい域』から出て、模索しながらも進んでいくように」と励ました。
■二十歳、それぞれの思い
拓殖大学の今回の英語研修生14人の代表・正木みなみさんからのメッセージもあった。その後、新成人の9人の学生が、一人ひとり英語で短いスピーチを行った。成人としての責任や決意、親・保護者への感謝の気持ち、仕事への不安もあるが、これからの人生に期待し、楽しみたいという内容もあった。
ハンフレイズ副学部長からそれぞれに記念品贈呈があり、閉会の辞は、国際・外部発展学部のアジェイ・パテル副学部長が行った。
式終了後、この日のための特製ケーキと飲み物で式出席者らとくつろぐ新成人たち。スピーチの際の緊張感もほぐれ、英語研修を楽しむ学生の顔に戻ってはいたが、特別な思い出を作った興奮に輝いていた。
(取材 高橋 百合)
バレリー・ピーターズ部長
イアン・ハンフレイズ副学部長
内田晃首席領事
ランメル幸さんと、ランメル・チャールズさん