1969年に子ども服デザイナーとして単身カナダに渡った。73年にモントリオールの教会で知り合ったふたりは翌年結婚した。
 1977年、当時ケベック州の政治情勢が不安定になってきたこともあり、ロイさんの生まれ故郷バンクーバーに戻ることにした。気候が良いことも決め手だった。移動に選んだのは、車の旅。「ドライブしてのカナダ横断はロイの夢でもありましたし、この国の広大さを肌で感じることが出来、いい想い出になりました」と百合子さん。
 ロイさんは当時へイスティング街にあった隣組(後にパウエル街に移転)で長年働いた後、フリーランスの通訳・翻訳の仕事をし、それを通して隣組職員時代と同じく多くの日系人の手伝いをしてきた。子どものいない夫妻はお互いに祈り合い、支え合い、信仰によって生きてきた。リタイヤ後もふたりは、日系人の手伝いや教会の奉仕、隣組のボランティア、プログラム参加などで忙しい毎日を過す。
 昨年秋には、“元気なうちに”と聖地旅行に参加。「イスラエル北部のガリラヤ湖周辺は、イエスさまが弟子たちを伴い、サンダルを履いて埃道を癒しと伝道のため歩まれた由緒ある土地です。その道順を実際幾分かでも辿り得た時、感無量でした」と見せてくれた1枚の写真。目まぐるしく移り変わる世の中で、信仰によって生きる夫妻の毎日は、感謝と平安で満たされている。
 (取材 ルイーズ阿久沢)

 

ガリラヤ湖畔に立つロイ上田・百合子夫妻

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