言葉で贈る元気のお年玉

笑顔円満、おめでたい

とかく世間はギスギスと、愚痴や不満が口をつく。だけど新年、気分を変えて、ポジティブになる一言を。人の長所を褒めたなら、これぞ言葉のお年玉。勇気百倍、元気いっぱい、笑顔円満、お立ち会い。さあ、明けまして褒めましょう。

 

 

人間の多面的な才能に光 組織や社会を元気にする

 褒められて悪い気がする人はいないと言うけれど、嫌みにならず、相手の力を伸ばすように褒めるにはどうすればいいのだろう。

 日本生産性本部が管理職と一般社員を対象に実施した調査によると、「褒めることが部下の育成につながる」と考えている課長は98・1%。上司から褒められたら「うれしい気持ちになる」という一般社員は96・5%に上った。

 しかし「上司はあなたを褒めますか」という問いに「褒める方だ」と答えた一般社員は48・6%にとどまった。

 民間調査会社のサーベイリサーチセンターのインターネット調査では、上司の68・3%が「部下を褒めにくい」と感じており、理由の上位は「褒める部分が見つからない」「褒めるタイミングがつかめない」「調子に乗るのではないかと思うから」だった。

 職場に限らず、学校やご近所、親子や親戚の間でも、人を褒めるのはなかなか難しい。

 京都造形芸大教授で、共著書に「【決定版】ほめ言葉ハンドブック」がある本間正人さんは、他者への関心が薄くなりがちな現代社会で、人を褒める大切さを強調する。

 「相手に興味を持つと、おのずから褒めるところは見つかります。褒めた方も気持ちがいい。そうすると観察力が高まり、褒め上手になる。人間の多面的な才能に光を当てることが組織や社会を元気にします」

 褒めるときは事実を観察して具体的に。こびるだけのお世辞は避けよう。

 照れや、相手がつけあがる懸念など、心理的なハードルもある。「照れくさいのは慣れの問題で、2週間もすれば板につきます。それに多くの人はつけあがるほど褒められたためしがなく、勘違いしませんよ。取りあえず褒めることが大事です」と本間さん。

 「ありがとう」など感謝の言葉を使って、相手がしてくれたことを褒める方法もあるという。

 

暮らしのさまざまな場面に

頑張ってるね、さすが

 暮らしのさまざまな場面に褒め言葉を。

● さっと一言

 いいですね

 助かったよ

 ありがとうございます

 気が利くね

 お変わりないですね

 頑張ってるね

 それ、面白い

 センスいいよ

● 職場や学校で

 みんな頼りにしてるよ

 〇〇さんのおかげです

 〇〇さんに話してよかった

 勉強になります

 君はもっと上を目指せる

 なかなかできることじゃないよ

● 身近な人ににしてるよ

 いいこと言うなあ

 へー、さすが

 〜してくれたんだ

 年季が入っているね

 あ、これ、おいしい

 似合ってるね

(PHP研究所刊「【決定版】ほめ言葉ハンドブック」、青春出版社刊「わかっていてもやっぱりうれしいほめ言葉辞典」などから)

 

自慢話を聞く、 お願いする

裏技あれこれ

 面と向かって褒めるのは抵抗があるという人向けの裏技あれこれ。相手を認める気持ちが伝わるように―。

● 自慢話を聞く

 自慢話に付き合う。相づちを打てば認めているサイン。

● 依頼する

 相手が得意なことを依頼する。「教えてください」「誰にでも頼めることじゃないから、お願い」。いいところを知っているからこそ。

● 小声

 小声でいいから褒めてみる。慌てず少しずつ。

● 笑顔で接する

 口べたな人は、ほほ笑むか、優しい表情で接する。笑顔で明るく「ばかだなあ」と言えば、悪態も肯定の意味に。

● 番外編―自分に

 夜、寝る前に声に出して自分を褒める。「今日もよくやったよ。お疲れ」。ささやかな心の充電。

 

「総活躍間違いなし!」

架空の総理年頭あいさつ

 初夢代わりに架空の総理年頭あいさつ。もしも国民へのお世辞だらけだったら―。  

 明けましておめでとうございます。国民お一人お一人、輝くお顔で何よりであります。今年は皆さん総活躍間違いなし!と言っても過言ではありません。近ごろは若い方々の活発な動きもあるようですが、わが国民の我慢強さは素晴らしいの一言であります。皆さんの貴重な1票が数の力と信任を与えてくださった結果、政権は切れ目なく安泰であります。わが国を世界も驚く健康長寿社会に。誰もが生き生きと、国内総生産600兆円も達成しようじゃありませんか。え、いいことばかり言ってる? いえ、全く正しいと思いますよ、私は総理大臣なんですから。

 相手に合わせ、心を込めるのがよろしいようで。

口はただ、言った方がいい 立川談四楼さん

 著書「ほめる力」がある落語家立川談四楼さんの話 大真面目に褒めれば、相手はいい気持ちになります。口はただですから、言わないより言った方がいい。言葉を選ぶセンスも問われますから、場数を踏むことです。

 まず家族で褒め合いましょう。気持ち悪がらずに。親は子の成長を褒め、子も「今年もお世話になります」ぐらい言ったっていいでしょ。

 しゃべるだけじゃない。手紙やメールもあるじゃないですか。人は褒められたいものです。褒められたら「この人は味方だ」っていうボタンを押しますよ。相手を笑顔にすれば、その後の話もうまくいくと思います。

 落語には「子ほめ」のように、褒めようとして失敗するネタがあります。こう言うんだよって教えられたのを忘れちゃうとか、余計なことを言って相手を怒らせるとか。落語を聞くと褒め方のヒントになりますよ。(共同)

 

 

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。