本16日午前9時20分から午後5時40分まで、東京において、国際会議「新たな開発目標におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:強靭で持続可能な保健システムの構築を目指して」を外務省、財務省、厚生労働省、国際協力機構(JICA)、日本国際交流センターの共催で実施しました。 この会合には、安倍晋三内閣総理大臣が出席したほか、各国政府、国際機関、民間財団、有識者、市民社会が一堂に会し、強靱で公平なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現とその継続について議論し、来年日本が議長国を務めるG7伊勢志摩サミット及びTICADⅥへの重要なインプットとなりました。また、第2セッションでは、秋篠宮妃殿下が傍聴されました。

 

安倍総理大臣冒頭挨拶

「新たな開発目標の時代とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ: 強靱で持続可能な保健システムの構築を目指して」

 本日は、「新たな開発目標の時代とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:強靱で持続可能な保健システムの構築を目指して」に御出席頂き、心より感謝申し上げます。 日本は長年にわたり、保健課題のために、知恵を絞り、行動し、確かな実績を残してきました。それは、保健が、個人を保護し、その能力を開花させること、すなわち、「人間の安全保障」の考えにとって、極めて重要であるとの信念があったためです。 そして今日、私は、国際協調主義に基づく積極的平和主義を掲げ、世界の平和と繁栄に貢献していくことを日本の基本方針としています。「人間の安全保障」の考えに立ち、保健を含む世界規模の課題の解決に、より重要な役割を果たしていくことは、まさに、この積極的平和主義の実践にほかなりません。

 今年、国連で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、日本がこれまで推し進めてきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)や感染症を含む幅広い疾患対策が達成目標となりました。

 来年、日本は、本アジェンダ採択後、最初のG7議長国になるとともに、TICADVI(ティカッド・シックス)を初めてアフリカで開催します。私は、G7伊勢志摩サミットにおいて、保健を優先アジェンダとして取り上げ、世界が直面する保健課題への取組を、G7と手を携えながらリードしていきたいと考えています。そのような思いを込めて、私は先週、「ランセット」に「世界が平和でより健康であるために」という論文を寄稿したところです。

 現在、世界が直面している保健課題とは何か。それは、大きく分けて、二つあります。一つ目は、公衆衛生危機への対応の強化です。エボラ出血熱の流行の際には、各国での感染症検知・報告の遅れや不十分な国際社会の対応もあり、結果として多くの命が失われました。グローバル化が進む中、地球規模の感染症対策を機動的に進めていく必要があります。例えば、公衆衛生危機時に必要な資金を動員するため、WHOの緊急対応基金や世界銀行のパンデミック緊急ファシリティの取組は重要です。また、各国の感染症対策の能力向上が重要であり、GHSA(世界健康安全保障アジェンダ)を我が国としても支持しています。

 二つ目は、母子保健や栄養不足から、非感染性疾患や高齢化まで、多様な課題に対応できる、生涯を通じた保健サービスの確保です。すべての住民が負担可能な費用で利用できる基礎的保健サービスを日頃から提供する、すなわちユニバーサル・ヘルス・カバレッジは、社会の安定した発展につながります。それと同時に、感染症の予防・検知・報告の能力強化も伴うため、公衆衛生危機への備えにも資すると考えます。

 これらの二つの課題に共通した取組として、私は、保健システムを、強靱で持続可能かつ包摂的なものに強化していくべきと考えます。そのような保健システムを各国の状況に合わせて構築するためには、途上国自身も含め世界全体で、強い政治的意思、明確な計画、十分な資金、人材の動員が不可欠です。また、関係する国際機関、ドナー、市民社会が、共通の目標をもって連携を促進することが必要です。

 最後に、本年のG7議長国であるドイツが取り上げた薬剤耐性(AMR)の問題も、日本は引き継いでいきます。その対応には、人と動物の両方で対策を取る「ワン・ヘルス・アプローチ」が必要です。さらに、AMRや顧みられない熱帯病(NTDs)のための治療薬を含め、官民が連携した研究開発も重要です。

 本日の会議は、保健システムの強化をはじめとする保健課題において、来年のG7サミットに向けた具体的な一歩になると確信しています。率直で実りある議論が行われることを期待しています。

 御清聴ありがとうございました。

平成27年12月16日 外務省プレスリリース

 

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