11月29日、バンクーバーのSt.Matthias & St.Anglican Churchで隣組クリスマスコンサートが開かれた。280人を超える来場者で満席の会場。そこは熱心に活動するボランティアメンバーと精一杯の演奏を披露するパフォーマー、そして応援の姿勢で耳を傾ける聴衆とが一つになった空間だった。
会を陽気に盛り立てたバンクーバー日本語学校の子どもたち(Photo by Yoshiko Nakayama)
ジャズからクラシックまで多彩な音楽を
コンサートはバンクーバー日本語学校の子どもたちのかわいい歌声でスタート。次は雰囲気が一転、しっとりとした大人のテイストへ。ボーカリストにイクコさん、フルート奏者の小西千恵子さん、ピアニストの㔟川加代子さんのアンサンブル・ブーケの登場である。定番のクリスマスソングのほか『I Dream A Dream』などの名曲に加え、事前の要望に応えて竹内まりやの『人生の扉』もじっくりと歌い上げた。
第2部では、新屋宗一さんのピアノ演奏でメゾソプラノ歌手小牧彩子さんが『アベマリア』ほかを披露し、神聖な雰囲気を醸し出した後、内藤邦子さんの指揮、シェパードひろ子さんのピアノ伴奏でボランティアシンガーで構成された混声合唱団のリードのもと、クリスマスキャロルを会場全体で歌唱。合唱団はその後、平和をテーマに選曲した『オー・ホーリー・ナイト』ほかを披露し、木目の内装の美しい教会がぬくもりのある力強い歌声で包まれ、大きな拍手が鳴りわたった。
日系シニアへの支援の思いが集まって
本コンサートの目的はバン買い替えのための寄付集め。隣組ではシニア向けの活動に使用しているバンが老朽化し、新たなバンの購入が急がれていた。2年前のコンサートから寄付集めを始め、今回のコンサートまでに寄付額は1万1千ドルに到達。今回の目標は2万4千ドル達成だった。そのために隣組の理事やスタッフ、有志がチケットの販売や寄付集めに尽力。願いに応えたケン・ウエスト社、A&Eコミュニケーションズ、シーボーン社、フジヤ、ゴードン門田さん、バンクーバー新報社からの多額の寄付が寄せられた。加えて前隣組事務局長デービッド岩浅さんが「100ドル以上の寄付には5千ドルを最高額に、自らも同額の寄付を行う」との宣言を実行。寄付総額は目標を大きく上回る3万6千ドルに達した。コンサートの最後に挨拶に立った隣組の新事務局長レス・フジタさんは、来場者と寄付支援者、そして会の運営に当たったスタッフ・ボランティアへの厚い感謝の思いを語り、会を締めくくった。
2006年、「隣組のために」とコンサートが企画された当初より、その運営に深く関わってきた妹尾翠さんは「10年という節目に素晴らしいコンサートができ、10年前に蒔いた小さな種が大きく育って、隣組のために役立ったことは本当にうれしく思います」と感慨を込めて語った。
(取材 平野香利)
「日系コミュニティのために自分たちの音楽で少しでもお役に立てたなら幸いです」と アンサンブル・ブーケの皆さん
合唱団に「聴き手の方の幸せへの祈りを込めて」と歌唱を指導した内藤邦子さん(写真中央)。 会場全体でのクリスマスキャロルの斉唱もリード
熱心にラッフルチケットを売る隣組スタッフやボランティア
当選したラッフルの商品交換のコーナーで
出演した日本語学校の子どもたち (Photo by Josh Coward)