約500人が和食と日本文化でお祝い
11月30日、在バンクーバー日本国総領事主催による天皇誕生日祝賀レセプションがコースト・コールハーバー・ホテルで開かれた。天皇陛下は12月23日、82歳の誕生日を迎えられる。レセプションには、ノーム・レトニックBC州農業大臣、ナオミ・ヤマモトBC州緊急時対策担当大臣、BC州議会議員、バンクーバー及び近郊の市長、市議会議員、クトュリエル太平洋艦隊司令官を主賓に日加の企業、教育、文化、芸術、日系団体関係者ら約500人が出席した。
天皇皇后両陛下のお写真を前に(左から)山本実さんの尺八、成谷百合子さん・小茂田和子さんによる琴演奏
ひとりひとりと挨拶
岡田誠司総領事にとって、当地で主催する三度目の天皇誕生日祝賀レセプション。天皇皇后両陛下の御真影が飾られた会場で、寧子夫人とともに来賓ひとりひとりと挨拶を交わした。
バックに流れるのは成谷百合子さん・小茂田和子さんによる琴と山本実さんの尺八演奏。寧子夫人による赤と白を基調とした生け花が、日本とカナダの国旗を象徴するように美しいコントラストを放つ中、四つの日系合唱団からのメンバーが新屋宗一さんの伴奏とルース鈴木さんの指揮で日本とカナダの国歌を斉唱した。
文化・スポーツ交流
岡田総領事は冒頭で、12月23日に82歳になられる天皇陛下がご健康でご公務をなされることを祈念し、スピーチを始めた。
在バンクーバー日本国総領事館開館125周年を迎えた昨年、岡田総領事は過去の外交文書や日系コミュニティの歴史を振り返った。その際カナダの多文化政策がいかに大事であるかということを認識したという。
現在、航空会社3社がバンクーバーから日本へ乗り入れ、BC州で学ぶ日本人学生は1万3千人あまり。BC州・ユーコン準州には姉妹都市が34市ある。今年は姉妹都市交流ほか日本の祭り、パフォーマンスやスポーツ開催など、日本とBC州の間でたくさんの交流が行われたことを報告し、「本日はユネスコ無形文化遺産に登録された和食とともに日本酒をお楽しみください」と述べ、BC州日本酒協会、裏千家バンクーバー淡交会、宇治茶の通圓、バンクーバー生け花協会など、コミュニティからの参加協力団体に感謝の言葉を述べた。
経済・地方自治体支援
今回のレセプションでは昨年同様、航空会社、旅行代理店のブースが設けられ、それぞれのビジネスのPRが行われたのに加え、今年は茨城県の米や北海道網走市の農産品などのPRブースも設けられ、関係者による説明も行われた。
日本とBC州の関係
来賓を代表して祝辞を述べたノーム・レトニックBC州農業大臣は「本日は、祝辞を述べさせていただく光栄に預かりました。実は私の誕生日も12月23日なのです」と挨拶し、日本とBC州の経済・貿易状況について語った。それによると、現在日本への輸出はニシン、エビ、豚肉、また日本からの輸入はホタテ貝、ビスケット、みかんの順位であると発表し、今後もBC州は『オープン・フォー・ビジネス』であり、大切なのは友好であると強調した。
トルドー首相と共にフランスでの先進国首脳会議に出席中のクリスティー・クラークBC州首相に代わり、ナオミ・ヤマモトBC州緊急時対策担当大臣が「日本の豊かな歴史と文化を祝し、日本とカナダの経済、文化、末永い友好を祈ります」と祝辞を読み上げ、バンクーバービジネス懇話会より垂水裕之会長の音頭で、天皇陛下のご多幸とご健康を祈念し乾杯した。
和食や日本文化でおもてなし
公邸料理人の岩坪貢範(いわつぼ・たかのり)氏が調理した約500人分のすき焼きに添えられたのは茨城県産の米『ふくまる』。『サンドバー』の寿司シェフ星努(ほし・つとむ)さんは茨城県産すし米『笑みの絆』を使い、3千個の寿司を握った。ホテルが用意したオードブルや温かな料理とともに日本酒を試飲した出席者たち。帰り際には抹茶を味わい、廊下に展示された生け花を観賞するなど、日本文化を堪能する夕べでもあった。
(取材 ルイーズ阿久沢)
在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏・寧子夫人