ジャパニーズ・カナディアン・ウォー・メモリアル・コミッティー主催
リメンバランス・デー日系カナダ人戦没者追悼式典
リメンバランス・デーの11日、スタンレーパークの日系戦没者記念碑前で戦没者追悼式典が開かれた。 この記念碑は第1次世界大戦が終結した1918年11月11日から2年後に、日系コミュニティの寄付金により建てられもの。毎年、戦争で犠牲となった日系カナダ人を偲んで戦没者の追悼式典が行なわれている。今年も、退役軍人や家族など大勢の人たちが集まり、祈りや献花が厳かに捧げられた。
日系カナダ人戦没者念碑の前では、多くの人たちが祈りを捧げていた
バグパイプの演奏で始まった式典は、司会進行のゴードン門田氏のあいさつに続き、則末恵子さんによって「O Canada」が歌われた。そして金光教バンクーバー教会長のロデリック・ハシモト氏による、退役軍人への感謝と世界の恒久平和をアピールするスピーチがあり、戦争による犠牲者に祈りが捧げられた。
参列者による2分間の黙とうが行われたあと、バグパイプによる哀歌に続きラッパが吹かれ、アイリーン・キタムラさんとデビッド・ミツイ氏が朗読を行った。
さらに在バンクーバー日本国総領事・岡田誠司氏をはじめ15団体の代表による花輪の献花があり、則末恵子さんが「God Save The Queen」を唱歌した。
式典が終わると参列者は、胸につけていたポピーのバッジを記念碑台に供えていた。
朝鮮戦争を2度経験したカオル・コニシ氏(88)は「現地では子どもたちが、飢えなどによって一番の犠牲者になっていました。私も大砲の音で左耳が聞こえなくなりました。戦争をして良いことは何もありません」と平和を願っていた。
午前11時半からは同パーク内のパビリオンでレセプションが開催され、参列者に軽食と飲み物が振る舞われた。
講演した日系3世のスーザン・ヤタベさんは、自身の祖父や父らの第1次および第2次世界大戦中と戦後の厳しい暮らしぶりを、当時の映像を使いながら紹介し「日系人は戦争によって、本人だけでなく家族や親せきも差別や強制移住など想像しがたい苦しみを受けました。今は戦争の時代を生きた人たちが年を取り、近年は亡くなる人も増えています。悲惨な歴史を多くの人たちに知ってもらい、同じ過ちは繰り返さないようにしなければなりません」と戦争の愚かさを語り継ぐ必要性を訴えた。
式典に参加した遠藤さくらさん(29)は、今年9月に日本からワーキングホリデーでバンクーバーに来た。「日本とカナダの歴史に興味があったので、ホームステイ先のホストペアレンツに薦められて来ました。最近の日本は安全保障関連法案が成立するなど、使い方を間違えれば戦争が起きてもおかしくない状況だと思うので、他人事ではなく平和について考える機会になりました」と感想を述べた。
短期留学で日本から来た大学生の藤原青空さん(21)は「日本人の一人として、知識や経験を深めるため参加しました。いろいろな国の人たちがもっと交流を深めると、戦争も起きなくなると思います」と話し合いの必要性を語った。
(取材 古川 透)
<献花団体>
日系カナダ退役軍人 第9部隊
S-20 及び二世在郷軍人会
全カナダ日系人協会(NAJC)
グレーターバンクーバー日系市民協会 (JCCA)
在バンクーバー日本国総領事館
日系文化センター・博物館
RCMP 王立カナダ騎馬警察
バンクーバー市
バンクーバー市公園管理局
バンクーバー市警察
BC 浄土真宗仏教寺院
日系カナダ人キリスト教教会
金光教教会
ブリティッシュコロンビア大学
生長の家
(敬称略・順不同)
式典に参列した日系カナダ人の退役軍人ら。着席中央はカオル・コニシ氏
花輪を献花する在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏
葬送ラッパの演奏をするRoss Bligh氏
スピーチするロデリック・ハシモト氏
司会のゴードン門田氏
バグパイプで哀歌を演奏するAlex Galloway氏