10月17日、バンクーバー日本語学校並びに日系人会館で 冨義之領事の送別会と松田茂領事の歓迎会が行われた。

 

感謝の挨拶をする冨義之領事

 

  冨義之領事の着任以来、3年2カ月、バンクーバー日本語学校との交流は、濃密なものであった。人々は次のように送別の言葉を述べた。「ハロウィンでの仮装姿や、卒業式などでおもしろいスピーチをしてくださった」、「一般市民の私たちにも気さくに声をかけ、領事館との垣根を低くしてくださった」、「バンクーバー日本語学校の行事には必ずといっていいほど来てくださった」、「やさしい、楽しい、真面目な人」。バンクーバー島にあるカンバーランドの古い日本人墓地を訪ねたときの印象を「半分以上の墓石が埋まってしまっていて、墓標の文字も薄れていた。当時の建物はすでにありませんが、一軒一軒の住居跡地に桜の樹が立っていて、往時の人たちの息づかいを感じられた」と、しんみり語るその表情は、冨領事の人となりをうかがえる一端だ。  また、バンクーバー日本語学校の教育方針について、スピーチの中で「この学校は、単に日本語を学ぶというのではなく、日本語を『継承していくための教育機関』ということを聞いたときは、まるで、頭をガ~ンと殴られたような思いだった」と、述懐していた。数々の行事に参加し、生徒や教職員、関係者、保護者との思い出を胸いっぱいにして、感謝の言葉を残し、冨領事一家は10月21日、東京へ旅立った。  そして、新しく着任した松田茂領事。前任地の韓国や東京の外務本省で、冨領事と長年机を並べた韓国通。最近のギクシャクとした日韓関係についての歯がゆい思いを、「あの東北大震災のとき、ソウルの街のいたるところで『がんばれ日本』の横断幕を掲げてくれていた光景に目を熱くした思いを忘れられない。きっとわかり合える…」、「これからはバンクーバーの地から日韓関係について考えていきたい」と熱い思いを語る松田領事。「私は、外交官、役人である前に普通の『おじさん』です。日本国総領事館の敷居は低いですから、私も、ぜひ、冨領事のようにフレンドリーな関係を築けるようにがんばります」と、着任のあいさつを述べた。  軽妙洒脱な司会をつとめた内藤邦彦教頭は、会が進行するにつれ、こぼれ落ちそうになる涙をこらえるのに精一杯の様子。バンクーバー日本語学校、名物のママさんキッチンの手料理がなくなるころ、会もおひらき。冨領事に美味、満腹の思い出を差しあげていた。

(取材 笹川守)

 

着任の挨拶をする松田茂領事

 

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