9月30日、在外公館長表彰の表彰式と祝賀会がバーナビー市のBurnaby Palace Restaurantで開催された。在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏夫妻、中津川貴領事、元バンクーバー日系ガーデナーズ協会会長の猿谷暁雄さん、元・南加庭園業連盟会長の安松ティムさんをはじめ、原田良造さんと苦楽をともにした友人や、家族、バンクーバー日系ガーデナーズ協会のメンバーが多数詰めかけ、祝賀の宴が開催された。
表彰状を手に感無量の原田良造さん(左)と在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏
在外公館長表彰について
表彰状を授与した在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏は、あいさつの中で「在外公館長表彰」について、次のように述べた。「世界中にある大使館、領事館は、その国に日本の文化を広く紹介し、良好な関係を築く役割を担っています。しかし、もっとも重要なことは、その国に在留しておられる方々が、いろいろな形で活躍されて交流が深まっていることです。そんな中、特に大きな貢献をされた方に、日本政府としてお礼をする、そんな意味合いがあります。カナダでの日系人の1889年以来の歴史を公文書で見てみると、特に第2次世界大戦の戦前から戦後の激動の時代、ご苦労の多かったことが記録されています。当時、日系人はバンクーバーにはほとんど居住しておらず、その後、少しずつ戻ってきたが、生活再建は困難を極めた。そんな中、日系人が技術を発揮できる職業として造園の仕事が着目され、盛んになった。1959年にはバンクーバー日系ガーデナーズ協会が設立された。その初期のころから原田さんは、協会の中心的な役割を果たされ、日本庭園、日本文化の真髄を伝えて来られた。今回、このような賞をお渡しできることは私としても誇りと大きな喜びです。また、このことは、バンクーバー日系ガーデナーズ協会のメンバー全員の方々の日頃のご努力の賜物と思います」。
先輩、後輩の絆は綿々と受け継がれ、日系ガーデナーズ協会は、この地に深く、強く根を張り成長していく
原田さんは、受賞のお礼のあいさつの中で「この立派な賞は、決して私のためだけのものではありません。すでに天国へ行かれた先輩方や、ここにご出席いただいた現役時代の仲間や、現会長の金田君をはじめ協会会員、全員への再評価をいただいたものと考えます。その代表として表彰状を受け取らさせていただく光栄に預かり、感無量です」と感謝の念を述べた。
バンクーバー日系ガーデナーズ協会設立57年の歴史の間には、紆余曲折もあったことは想像に難くないが、耐え忍びながら庭木を育てるように丹精こめて協会メンバーひとりひとりの成長を見守って来たのだろう。 祝辞に立った猿谷暁雄さん(バンクーバー日系ガーデナーズ協会、元会長)、安松ティムさん(南加庭園業連盟、元会長)の二人が述べていたのは、「先輩、後輩の絆の固さが、多くの難局を乗り越えてきたポイント」。長い年月の節々にあった事柄を思い浮かべ、スピーチし、友の受賞を喜んでいた。
(取材 笹川守)
原田良造さん略歴
1935年北海道夕張市生まれ、1962年短期農業研修生として渡米。1965年までカリフォルニア州サンタバーバラで農業研修。1968年バンクーバーへ移住。西浜さんのヘルパーとしてガーデナーの仕事を始める。1969年独立。バンクーバー日系ガーデナーズ協会に入会。1973年副会長就任、その後幹事、事業部などの理事職を経て、1980年会長就任。1982年Co-op設立時の副理事長、1985年Co-op理事長に就任。1989年ガーデナーズ協会会長に再任。以後、1997年まで20年間以上、協会またはCo-opの理事、会計監査などの役職を歴任。協会発展を支えた中心人物。今年80歳を迎えながら、いまだ、協会の精神的な支えとなっている。
受賞の挨拶をする原田良造さん
祝辞を述べる安松ティムさん
祝辞を述べる猿谷暁雄さん