総合病院支援のためのチャリティーコンサート開催

 

 

コンサートの主催者、アダムス弘美さんが弾くハープの『さくらさくら』に合わせて能の舞いを踊った平野弥生さん

 

ピアノ、篠笛、口笛、ハープ、能の舞い

8月1日、バンクーバー総合病院のロビーで、病院支援のためのチャリティ・コンサートが開かれ、ピアノ、篠笛、口笛、ハープの演奏に、能の舞いがコラボ。入院患者や介護スタッフが聴き入る中、フィナーレには手拍子、拍手、涙など、連休の週末、静かな病院ロビーにひと時の感動を巻き起こした。

感謝の気持ちを込めて

 このコンサートを企画したアダムス弘美さんは、ご主人のコンラッドさんがバンクーバー総合病院(VGH)に入院した際、手厚い看護を受けたことから、恩返しを考えたのだという。アダムスさんが長年住んだ地ナナイモの総合病院と、現住地ラドナーにあるデルタ総合病院の支援も兼ねて、7月31日にはナナイモで、8月2日にはラドナーでもコンサートを開催。ナナイモでは浴衣姿の日系の子どもたちが踊りで加わった。

 日本からはアダムスさんと長年交流のあるコンサート・ピアニストのいまいのりこさん、ピアノ・篠笛奏者の足立則子さん、口笛奏者の柴田晶子さんが参加した。

こころに響く旋律

 バンクーバー総合病院の待合ラウンジ『ダイヤモンド・ファミリー・コートヤード』。いまいのりこさんがショパンの『ノクターン』を弾き始めると、吹き抜けの天井まで響き渡るピアノの調べに立ち止まる医師の姿も。いまいさんは熟練ピアニストとして演奏活動するほか、イタリア語通訳として最近ではスカラ座の来日でイタリア大統領と天皇陛下の通訳を務めるなど、多才なアーティストでもある。

 足立則子さんは、ピアノ独奏後に篠笛で『鞠と殿様』を演奏。“てんてんてんまり…”と弾んだリズムに続き、『江戸子守唄』でしんみりとした篠笛の音色を聴かせてくれた。

 国際口笛コンクール女性成人部門で2度総合優勝した柴田晶子さんは、『口笛吹きと犬』で軽やかにスタート。まるで小鳥がさえずるような澄んだ口笛の音色には誰もが驚嘆した。さらに、手回しオルゴールを回しながら『ムーンリバー』、ピアノ伴奏で『カルメン・ファンタジー』を演奏し、口笛の魅力を紹介してくれた。

 アダムス弘美さんのハープ演奏『さくらさくら』に合わせ、着物姿の能の舞いは平野弥生さん。ハーピストの大竹美弥さんは幻想的な『アラベスク第1番』、『ナイチンゲール』に続き、情熱的に『バロック・フラメンコ』を演奏した。

 最後は全員参加で『星に願いを』を演奏し、会場に大きな拍手が沸き起こった。急いで病室から入院中の夫を連れてきた人や、感動の涙を流した入院患者の姿も見られ、チャリティー・コンサートはひとりひとりのこころに美しい調べと希望の光を与えてくれたようだ。集まったドネーションは各病院に寄付されるという。             

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

小鳥がさえずるような澄んだ音色!口笛奏者の柴田晶子さん

足立則子さんの篠笛といまいのりこさんのピアノ伴奏で『鞠と殿様』

流れるようなアルペジオでドビュッシーの『アラベスク第1番』ほかを弾いたハーピストの大竹美弥さん

コンサートを聴いて感動したと話す入院患者さんと出演者の皆さん (左から)柴田晶子さん(口笛)、いまいのりこさん(ピアノ)、足立則子さん(ピアノ・篠笛)、平野弥生さん(能の舞い)、大竹美弥さん(ハープ)、アダムス弘美さん(ハープ)

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