網走産の長いもカナダ上陸!
夏の暑さで食欲の落ちたからだにやさしいとろろ。山いもや長いもをすりおろしたとろろは、定番のとろろかけご飯に山かけソバを始め、応用レシピは無限大だ。しかも長いもは亜鉛やカリウム、鉄などのミネラル成分にビタミンB群、C、そしてアミラーゼなどの多くの消化酵素を含み、ネバネバ成分であるムチンは滋養強壮の効果が高い。そんないいとこ取りの長いも、しかも日本産の長いもがカナダにやってきた。
長いも、小麦粉、でんぷんなどの網走市特産品
長いも紹介のレセプションを総領事公邸で開催
7月13日、在バンクーバー日本国総領事公邸で、北海道網走市の特産品のプロモーションを目的としたレセプションが行われた。網走市から水谷洋一市長、JAオホーツク網走の岡本一男組合長ほかの人々が来加。当地からは、日本食レストランや日本食材店のオーナーほかが招かれた。
この会での特産品紹介の目玉は長いも。ほかに小麦粉、魚醤油、小豆、流氷をイメージした青いビールなども紹介された。
網走市役所経済部農政課長の川合正人さんに、長いものプロモーションの経緯について話を聞くと「長いもは日本政府が重視して輸出を推進している品目。昨年はロサンゼルスでの販路を開拓しました。そして次は北へ展開ということになり、バンクーバーに参りました。7月11日、12日の週末には当地のT&Tスーパーマーケットと大阪超級市場(ヤオハンセンター店)で、一般の人たちに試食会を実施しました」とのこと。
この日のレセプションの冒頭、岡田誠司在バンクーバー日本国総領事は網走市からの一行歓迎の挨拶の中で「守りではなく攻めの農業が大事」と、この度の動きを称えながらも、長いも販促の話が来た当初は、長いもがカナダで魅力を持つかは疑問視していたと正直な思いを吐露。しかし関係者から話を聞き、質の良さを知って「チャンスはある。何事もチャレンジが大事」と積極的な思いに転換。「当地のマーケットでの普及を祈っている」と語って、挨拶を結んだ。次に水谷網走市長が挨拶に立ち、レセプション開催への感謝の意を表した後、「網走市は農業、水産、観光が主な産業。寒暖の差があること、四季がはっきりしていることが農業の利点。本日はおいしい網走の味覚を楽しんでください」と語った。
その後、公邸料理人の調理により、網走産の長いものとろろを載せた冷製ソバはじめ、長いものパスタサラダ、網走産魚醤で漬けこんだスモークサーモン、網走産でんぷんを使用したプリンなどが振る舞われ、網走の味覚を堪能したひとときとなった。
レセプションでは網走の特産品を使った料理が振る舞われた
粘りと甘み、安全の、三拍子
網走産の長いもの特徴は、粘りの強さと甘み。しかも切ったりすったりした後も茶色になりにくい。いも自体の色は薄茶色で中は純白。ほとんど農薬を使わず育てたうえ、収穫後、土の中で保管するのと同じように、呼吸できるパックを施すことで新鮮さを保持しており、安心して食べられる食品として出荷されている。
他国産と比較しての試食では、他国産が大根のようにさっぱりしていると感じられるほど、網走産の長いもは大変粘りとうまみがあった。その粘り強い長いもが生まれるのは、「昼夜の寒暖の差が激しいという環境条件。そしてつるに付いた葉が完全に枯れ落ちるまで収穫せず、糖が十分に浸透するのを待つこと」の二つが鍵を握っているという。
さて、その網走産長いも、当地のT&Tスーパーマーケットと大阪超級市場では早速販売を予定している。今後、他の食材店やレストランでも網走産長いもが入手できたり、楽しめる日が来ることを期待したい。
﹁おいしい網走産の長いもをぜひご賞味ください﹂と水谷洋一網走市長
(取材 平野香利)