バーナビー市・釧路市姉妹都市提携50 周年記念 昼食会

 

今年、姉妹都市提携50 周年を迎えたバーナビー市と釧路市。時代の変化に対応しながら良好な関係を築いてきた両市が、次の50 年へと引き継ぐための新たな一歩として、お互いに両市を訪問する。今月は釧路市から市長の蝦名大也氏をはじめ公式訪問団約20 人、市民訪問団約40 人がバーナビーに到着し、バーナビー市長デレク・コリガン氏の歓迎を受けた。7月9日には、両市関係者を招いて、在バンクーバー日本国総領事館総領事岡田誠司氏主催による昼食会が公邸で催され、忙しい記念行事の中、和やかなひと時を過ごした。

 

 

 

 「友好関係がさらに続いていくことを切に願って」

 岡田総領事はあいさつで、「今の友好関係がさらに続いていくことを切に願っている」と語った。姉妹都市50周年を記念する同日朝のバーナビーマウンテンでの式典に参加した総領事は、バーナビー市のきめ細かな「おもてなし」に、「素晴らしいセレモニーを用意していただいたのには驚きました」とコリガン市長に声をかけ、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

 岡田総領事とコリガン市長は、同市長が総領事を「新しい友人」と呼ぶほどの関係にあるという。同市長は、「古くからの友人である釧路の蛯名市長を、新しい友人である岡田総領事にこの場で紹介できることをとても嬉しく思う」と笑顔を見せた。日本とカナダの関係は、釧路とバーナビーの関係と似ているという。「単なる外交関係ではなく、真の友人という関係だと思っている」と語った。

 昔からの友人として紹介された蛯名市長は、バーナビー市がバーナビーマウンテンのセンテニアル・パークを釧路公園に変更したことに驚きと感謝を表し、コリガン市長、岡田総領事をはじめ、カナダ側の関係者の人々の「温かい心に感謝を申し上げたい」と感激した様子だった。

 

姉妹都市50周年

 釧路市とバーナビー市が姉妹都市となったのは1965年。当時の在日カナダ大使アラン・エモット氏の仲介により実現した。町の大きさや位置、文化的、構造的な類似点など、姉妹都市に相応しい相手として、相思相愛で合意に達した。

 それから50 年。時代は移り、市は発展しながら変化を遂げても、姉妹都市関係は変わらなかった。市の交流は、市民、政治、企業とそれぞれのレベルで続けられてきた。経済や文化、スポーツなど、さまざまな面で、協力、交流を行っている。

 カナダと言えばホッケーが熱いが、実は釧路もホッケーへの情熱ではカナダと変わらない日本でも有数のホッケータウン。カナダからは2年に一度、日系アイスホッケーチームが釧路を訪れ、試合を行っている。2008 年から続くスポーツ交流。勝敗はややカナダ有利らしいが、バーナビー市長からのスポーツ交流使者と訪れる若者たちを釧路市民も心待ちにしているという。「釧路は日本でも北に位置して、どこなくカナダっぽい」とコリガン市長。「アイスホッケーも盛んだし、カナディアン・スピリットを持つ町として親しみがありますね」と笑った。

 「夫婦でも50 年一緒にいればお祝いをするほど」とコリガン市長は、変わらない関係を続けることの難しさを表した。「時の市長たちが努力した賜物」。蛯名市長、コリガン市長ともに、この50 年の関係を土台に、次の50 年に向けて新たな関係を築いていきたいと語った。

 

「釧路とバーナビーはとてもよく似ている」 ー 蛯名大也市長

コリガン市長のあいさつを聞く蛯名市長

 「ほんとにきれいな町で、自然が豊かで、こういう形で環境とか自然を大事にするというのは素晴らしい」とバーナビーの感想を語った。姉妹都市50 周年という節目の年に、バーナビー市を訪問した蛯名大也市長は、その歓迎ぶりにこれからの友好関係も良好に発展していくことを確信していた。

 「お互い町の歴史からいっても、この50 年というのは長い年月であり、その中でいろいろと変革しながら、町も発展する中で続く関係から、共通の関心事も見えてきています」と蛯名市長。環境対策や先住民族との関係を例に挙げながら、現在、両市が力を入れている共通項を通じて、さらに強固で友好な関係に発展させていきたいと、将来を見つめた。

 特に若者の交流を積極的に行いたいという。今回は、高校生が2人参加している。「次の世代の人たちが参加することで、ここで見たり、聞いたり、触れたりしたことが、一生心に残ってくると思います。それは将来、彼らがカナダという言葉を聞いたり、バンクーバーという言葉を聞いた時に、釧路って聞いた時と同じような情景や懐かしさを感じてくれると思うんです。こういうことが、これからの交流にとって大事だろうと思います」と語った。

 2 年に一度、釧路を訪れている日系アイスホッケーチームの話題に触れ、カナダチームと試合をするのは「素晴らしい思い出になるでしょうね」と蛯名市長。「交流していくということは知るということ、知るということは理解するということ」。こうした若者の交流が続けば、両市の関係はこれからもさらに発展を続けていくだろうと期待していた。

 

「釧路市は、もうひとつのホームタウン」 ー デレク・コリガン市長

コリガン市長。SFU があるバーナビー市は、「研究分野でも交流を発展させていきたい」と語った

 今回、釧路からの訪問団を迎えたコリガン市長は、9月に約20 人の訪問団で釧路を訪問する。市長にとっては4回目の訪問。「非常に楽しみにしています」と市長。「私にとっ てはもう一つのホームタウンに帰るみたいなもの」と笑った。

 釧路とバーナビーは共通項が多いという。環境に力を入れていること、先住民族との関係が良好なこと、港町であること、こうした共通項は抱える問題や特徴なども共通するため、「(釧路の)取り組みがバーナビーにとってお手本になるし、シェアできるものも多い」と語った。

 「両市の友好関係は、両国の友好関係を表しています」と市長。「日本とカナダは友人という関係をこれまで築いてきました。これは努力の賜物です。市民が、市が、企業が参加した結果です」と、人々の努力でここまでの関係を築き上げてきたことを強調した。

 バーナビーにとって日本との関係は特別なものがあるという。釧路との姉妹都市というだけでなく、日系文化センター・博物館があることもその理由。カナダにおける日系の文化・遺産の中心とも言える日系センターがバーナビー市にあることにより、日本や日系コミュニティと「特別な関係」があるという思いが強いと語った。

 「姉妹都市50 年という長い歴史の中で、政治家によってはその関係が重要視されなかったこともあっただろうと思う。しかし今回、蛯名市長とお会いして、これからの50年に向けリーダーシップを発揮してもらえる人だと確信しました」と語り、両市のより良い関係に新たな1 ページを開いてくれるに違いないと語った。

 

昼食会を主催した岡田総領事。釧路で台風直後にカヤックをした時の思い出を語り、会場を和ませた

この日参加した関係者。バーナビー市議やジャズピアニストであり釧路観光大使の木原健太郎氏(左上)の姿も

(取材 三島直美)

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