日本での企業研修に期待と意欲
日加コー・オプ・プログラム壮行会
5月7日、在バンクーバー日本国領事館総領事公邸で、日加コー・オプ・プログラム(CJCP)によって日本企業での研修に出発するカナダ人学生35人の壮行会が行われた。
プログラム参加学生で記念の動画を撮影。大いに盛り上がった
24年目となるプログラム実施
CJCP は、カナダの学生が日本企業で実務を遂行するもので、学生は日本での実務研修が所属大学の単位として認められる。参加資格者は、カナダ全土の16の大学・カレッジの希望者の中から、試験や面接を経て選抜された学生。1991年のプログラム開始からこれまでに、約920人が日本企業での実務研修を経験している。
言語のハードルが問題になりにくいことから、技術系の職種での受け入れが多く、NTTやJFEスチール、大日本印刷などの企業がカナダ人学生を受け入れている。カナダ人学生を採用した企業からは、「チームが活性化する」、「自社社員のコミュニケーションレベルが上がる」と好評を得てきた。2015年度は、約100人の希望者の中から選ばれた38人が日本での企業研修に臨む予定だ。
この日の壮行会は、日本行きを前にした学生たちへのオリエンテーションの最終日に当たるもの。「学生たちは、企業に入ってからチームワークを持って仕事をしていきますので、オリエンテーションでは学生にチーム作りのためのアウトドアアクティビティへの参加や、日本の文化を学ぶワークショップの受講、そして企業に入ってから何度も行うことになるであろう自己紹介の仕方などを日本語クラスで学んでもらいました」とCJCPプログラムアシスタントの根本優子さん。壮行会では、在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏から学生への激励の挨拶の後、オリエンテーションでの日本語クラスの成果を披露すべく、学生一人ひとりが前に出て日本語で自己紹介を行い、その後の交流の時間となった。
日本での生活への期待に胸を膨らませて
参加学生の一人、モントリオール理工科大学でコンピューター工学を専攻しているパケ・アレクサンドルさんは京都所在の企業、㈱国際電気通信基礎技術研究所(ATR)で研修の予定。「大阪城などのお城や日本映画が好きで、インターネットを通じて日本人の友人も京都にいます。研修中に、もっと日本語のスキルを上げたいですし、広島や九州など各地を回ってみたいです」と嬉々として語った。ブリティッシュコロンビア大学で生物学を専攻しているアナム・リューさんはNTT厚木、先端集積デバイス研究所で研修予定。日本で生活できる利点は、「日本人の親切なもてなしの心に触れて学べること」だと思いを込めて語ってくれた。
デニー・イングさんはCJCPでのインターンシップ経験者で、今回はオリエンテーションの学生アシスタントを務めた。日本企業アズビルでの1年間の研修の際には会社の寮で生活し、技術開発の部門で研究とデータ分析に従事。所属部署の社員が英語で会話してくれたことに甘んじて、日本語力が伸ばせなかったことを反省し、現在日本語を勉強中だ。そして日本での就職を夢見ているという。 学生それぞれが抱く日本への憧れ。そして日本行きを前にして浮き立つ気持ちが、学生たちから伝わってくる壮行会だった。
オリエンテーション修了証書を受け取るAlexandre Paquetさん(左)と岡田総領事(右)
Denny Ngさんは2012年に日本の企業で研究を行った
日本文化への興味からプログラムへ応募した Anam Liuさん
(取材 平野香利)