先人たちの心意気を、今に伝える元気よさ

 

4月25日、BC州和歌山県人会創立50周年と工野儀兵衛渡加127周年記念祝賀会が、リッチモンド市のコンチネンタル・シーフード・レストランで開催された。 同県人会が創立されて半世紀の節目となる今回の祝賀会は、和歌山県国際交流事業補助事業に指定され、日本からの来賓も参加しての盛大な祝賀会となり、会場は来賓、会員合わせて160人の参加者で埋め尽くされた。

 

挨拶する仁坂吉伸和歌山県知事

 

日本からも 多くの来賓が出席

 来賓には、在バンクーバー日本国総領事館総領事岡田誠司氏夫妻のほか、和歌山県知事仁坂吉伸(にさかよしのぶ)氏、和歌山県議会議員中村裕一(なかむらゆういち)氏を代表とする県議会議員団、美浜町長森下誠史(もりしたまさふみ)氏、美浜町議会議長鈴川基次(すずかわもとつぐ)氏、また和歌山県国際交流協会理事長樫畑直尚(かしはたなおひさ)氏と、和歌山県庁および美浜町役場の職員の方々が出席。

 そのほかリッチモンド市長マルコム・ブローディ氏と市議会議員も祝賀会に駆けつけた。

 

仁坂知事より高齢者表彰を受け取る、田中氏(95歳)

記念品の目録を水田会長に手渡す、森下町長

 

先人たちの努力に敬意を表して

 同県人会会長水田治司氏は挨拶で、次の世代に和歌山の、そして日本の良さを継承してもらえるよう、これからも努力していきたいと抱負を述べた。

 続いて95歳の国風流師範村尾国畔氏が、和歌山県から渡ってきた先人たちを詠んだ平野国政氏作詞の詩吟『桜花を捧ぐ』 を披露。参加者は手元に配られた歌詞を目で追いながら、その情景を思い浮かべていた。

 次にBC州のクリスティ・クラーク首相からのメッセージの代読があり、岡田総領事に続いて祝辞を述べた仁坂県知事は、「感謝」の言葉を贈りたいと、壇上に飾られた自筆の書を紹介。日本がカナダをはじめ世界各国から尊敬されるようになったのは、海外で様々な困難に直面しながらも、立派に生き抜いてきた和歌山県人のような日本人移民の努力の賜物。その先人たちへの敬意からこの言葉を選んだと述べた。

 また中村議員は、映画『バンクーバーの朝日』が日本で公開時の様子を、「みんなが勇気をもらった」と紹介。昼間に訪れた工野庭園や缶詰工場から、先人たちの置かれた過酷な環境と苦労に思いを馳せ、彼らの勇気に敬意を捧げたいと語った。

[ 続くリッチモンド市長ブローディ氏は先日の式典を紹介。それは同県人会がリッチモンドのゲリーポイント公園に10年間かけて植えてきた255本の満開の桜の下で開催された式典で、リッチモンド市が2015年3月27日を 『BC州和歌山県人会日』と宣言するものだった。この場で市長は再度宣言を読み上げ、県人会の長い歴史に花を添えた。

 森下町長は、この地での力強いコミュニティを築き上げてきた美浜町出身の先人たちを誇りに思い、その努力を後世に語り継ぐため、町では小中学校の授業で、その歴史を伝えていると紹介。

 さらに、こうした海外県人会との交流の窓口となっている国際交流協会の樫畑理事長は、今後も和歌山県と県人会との交流を盛り上げていくと述べた。最後に東部カナダ和歌山県人会からの祝辞の代読があった。

 

最後は串本節を全員で唱和

村尾氏が詠う、先人たちの情景に耳を傾ける参加者

 

会場全体がひとつになった祝賀会

 和歌山県からは、功労者表彰が代表者水田会長に、高齢者表彰が代表者村尾敏夫氏と田中貴代子氏に贈られた。95歳の田中氏は、「うれしいけど、恥ずかしい」と笑顔で感想を話してくれた。

 続く食事では、来賓と会員の交流で大いに盛り上がり、「こんなに活気がある大宴会は見たことがない」という感想があちこちから聞かれた。

 記念品贈呈後の余興の時間は、遠く離れ、時が流れても、ふる里を思う『北国の春』の替え歌『和歌山の春』で始まり、最後は串本節を全員で合唱。すっかり意気投合した全員が唱和、祝賀会の最後を見事に飾った。

 水田氏は「無事に祝賀会を成し遂げられたのも、皆さんの惜しみない協力があったからこそ」と、強い絆で結ばれた和歌山県人への感謝の気持ちを語っていた。

 

祝賀会に集まった来賓の方々(前列右より、岡田総領事(1人目)、ブローディ市長(4人目)、仁坂知事(5人目)、中村議員(7人目)。後列右より、森下町長(2人目)、樫畑理事長(3人目))

 

(取材 平野直樹)

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