弓道入門セミナー
〜アーロン・ブラックウェルさんを招いて〜

 

日本の伝統的な武道である弓道の入門セミナーが15日、バンクーバー日本語学校で開催された。米国から講師のアーロン・ブラックウェルさん(6段教士)らを招き、19人の参加者が弓道の“いろは”を楽しみながら学んだ。

 

アーロンさんの試技

 

 20、30代が中心の参加者たちは体育館で一礼したあと、筒そでとはかま姿の講師たちから弓道の道具についての説明を受けた。その後、2組に分かれ、第1組はお辞儀や正座などの立ち居ふるまいや呼吸法などを学び、第2組は実際に弓で矢を放つ体験を各組が交互に行った。

 体験する組は腕の引き方や胸の張り方などの姿勢を教わったあと、手袋に当たる『ゆがけ』を付け、的になる直径1メートルの『巻きわら』に向けて矢を放った。アーロンさんは1人ひとりを丁寧に指導したが、初めての人が多く2、3メートル先の的でも当てるのは難しいようだ。

 男性参加者のJohann Weissさん(28)は「アーチェリーの経験があるので、弓道にも興味があった。弓を射るときは、とても集中力を必要とした」。また、友人たちと参加した女性のStephanie Tsangさん(26)は、「弓を引くには思っていたより力がいるけれど、とても楽しかった。またやってみたい」と話した。

 アーロンさんは米国のサウスカロライナ州の出身で、弓道を学ぶため約40年前、福岡市に住んでいた。有段者の練習を見るのが日課となり、1年の滞在予定が3年半になったという。米国に戻ってからの17年間はひとりで練習を重ね、全日本弓道連盟が米国でセミナーを開いたとき、講師に会ったのがきっかけで審査や指導の道に進んだ。

 弓道の魅力は立ち方、座り方の姿勢、無駄のない動きに見られる美しさだという。的は自分の心の鏡になると言い、迷いがあるときはうまく当たらないそうだ。  北米での弓道普及の問題点は、指導者と道場が少ないこと。女性や高齢者でも比較的簡単にできる弓道を多くの人に知ってもらい、後継者を増やすことも自分の仕事と語る。

 アーロンさんはこれからも年に1回、バンクーバーで弓道を教える予定。友人でセミナーを主催したカナダ弓道連盟バンクーバー会長のMike Nakatsuさん(3段)が、初心者向けのレッスンをバンクーバー日本語学校で開く。5月30日から毎週土曜日に全10回の予定で、14歳から参加できる。費用は1人150ドル。

 問い合わせは This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.

 または778-245-8664、Mikeさんまで。

 

弓道の基礎を学ぶ参加者たち

弓の引き方を学ぶ参加者たち

アーロンさんの指導で矢を放つ参加者

巻きわらに矢を放つ参加者

ゆがけを選ぶ参加者たち

セミナーの初めと終わりには一礼する

 

(取材 古川透)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。