日本遠征は順調に

 

 足利リトルシニアメンバーと足利市の方と

 

バンクーバーとの姉妹都市横浜に到着

 バンクーバー新朝日軍のメンバーは無事、日本に到着。横浜を皮切りに忙しいスケジュールの中でも充実した時間を過ごしている。

 

足利リトルシニアとの試合

 

初戦は栃木県足利市から

 まず初日3月7日は栃木県足利市を訪問。日本最古の学校「足利学校」見学や足利リトルシニアとの対戦、そして映画『バンクーバーの朝日』で使用されたセットや衣装なども見学した。

 日本到着直後の足利リトルシニアとの初戦に際し、新朝日軍背番号18のジョセフ・シンクレア選手は「時差ぼけもあるが言い訳にはできないのでベストを尽くす。会場には母と祖父母、叔父も見に来ているので頑張りたい」と意気込みを語った。

 結果は敗戦だったものの全員がベストを尽くした素晴らしい交流試合であった。背番号3のコーディー・タカハシ君は「今回こうして日本に練習ではなく試合として来る事ができて嬉しい。日本のスタジアムは広くとても良く整備されていて雰囲気も良かった。日本のチームはよく声も出ていた」と語った。

 試合を観戦しに来ていた小学校6年生の選抜チームのキャプテン、日下部 生(クサカベ・ジョウ)君は「足利リトルシニアとバンクーバー朝日との試合に感動した。新朝日軍の選手達は体が大きくかっこよかった。長旅の疲れも見せずよく練習できているのが分かるし、いつか自分もバンクーバーに行ってみたい」と笑顔で語った。

 

横浜南高校で行われた横浜バンクーバー姉妹都市提携50周年記念親善試合オープニングセレモニー

 

盛りだくさんの遠征スケジュール

 3月8日には横浜バンクーバー姉妹都市50周年記念親善試合オープニングセレモニーが横浜南高校にて盛大に行われた。ここでは横浜南ボーイズと横浜中本牧シニアと対戦した。

 『バンクーバー朝日軍』著者のテッド・フルモトさんは「1914年に結成された朝日軍から90年以上の月日を経ての新朝日軍の来日に感無量であり、まさかこうして皆が日本に来てくれることが現実化するとは。想い続けたら叶うんだということを実感した」と語った。

 また、映画で監督役を演じた俳優の鶴見辰吾さんは「今のバンクーバーからは映画にあったような当時の日本人街は消えてしまっているが、長い年月を経て映画化されたことで、バンクーバーと横浜そしてカナダと日本の友好な関係がますます発展していくことを期待している」と語った。

  新朝日軍のメンバーは、この日の夜にはオリジナルの朝日軍メンバーの親族の方々と交流会を行い、新旧朝日軍の素晴らしい顔合わせとなった。

 当日参加されていた中村修さんは父親の中村哲(サリー中村)さんについて、「父は1940年にカナダから日本に帰国。翌年の太平洋戦争、真珠湾攻撃のためにカナダに戻ることは叶わなかった。昔野球の選手だったんだよと聞いたことはあったものの、当時自分の知る俳優である父の姿からはそういうイメージは全くわかなかった」と語る。

 3月9日、10日には、朝日軍テディ・フルモト(古本忠義)さんのお墓のある妙香寺への参拝、横浜市長表敬訪問、カナダ大使館訪問、地元ケーブルテレビへの生出演、DeNAベイスターズチームの試合観戦、とスケジュールは続いた。

 

朝日軍記念品を林文子(はやし・ふみこ)市長に進呈

 

横浜市長表敬訪問

 

選手一人一人の声

 横浜での4日間を振り返って選手一人一人の声を背番号順にお伝えしたい。

背番号1 ヒロ・ヤマモト選手(13歳)

 「日本には毎年夏に来ているから慣れているけど、今までは練習しかさせてもらえなかったし、今回試合ができて本当に嬉しい」   

背番号2 ヨシキ・イノマタ選手(14歳)

 「日本の学校のグラウンドはすごく良く整備がされていて野球がしやすく、とても良かった」

背番号3 コーディー・タカハシ選手(15歳)

 「日本滞在をとても楽しんでいる。また日本に野球の試合で帰ってきたい」

背番号4 カーター・ウォング選手(14歳)

 「いろいろとカナダと日本の違いを感じる。日本食も楽しんでいる」

背番号5 ショウ・マツヤマ選手(15歳)

 「とても興奮しているし、日本滞在を楽しんでいる」

背番号6 コウタ・フクダ選手(14歳)

 「緊張もしたけどゲームが始まったらとても楽しんでプレーすることができた」

背番号7 アダム・イノウエ選手(14歳)

 「日本の人はとても親切で優しく滞在をとても楽しんでいる」

背番号8 アレック・クミング選手(15歳)

 「とても興奮しているし気分も良い。自分のチームも相手チームも共に強い」

背番号9 ジョーダイ・スズキ選手(14歳)

 「日本の選手とプレーできて楽しかった。日本のチームはしっかり声を出すし礼儀正しい」

背番号12 カズ・カダ選手(13歳)

 「とても気分よく楽しい。日本のチームは強いけど自分達も強いチームだと思われたと思う」

背番号13 コール・ダラザナ選手(15歳)

 「日本のチームはとてもフォーカスしていてよく練習しているのが分かる。日本の国はとても綺麗」

背番号14 カイル・ジー選手(14歳)

 「ここに来れてとても幸せ。楽しんで試合をしている。日本食も美味しい」

背番号15 ケンタ・サイモン選手(14歳)

 「今日の試合には負けてしまったがよく頑張った接戦だった。日本食はとても美味しい」

背番号18 ジョセフ・シンクレア選手(13歳)

 「今のところまだ1試合も勝てていないけど日本を楽しんでいるし1勝でも持って帰りたい」

背番号23 ノア・ナカムラ選手(15歳)

 「なかなかできない体験で、注目されて気恥ずかしいけど日本の人は親切で場所も綺麗で楽しんでいる」

 

カナダ大使館訪問

 

 選手達は思い思いに日本滞在を楽しんでいる様子。長い間知られることのなかったバンクーバー朝日軍の歴史。それはカナダの日系人移民の歴史でもあり、フェアプレーをすること、どんな相手であったとしても日本人の誇りをもって正々堂々と正直に戦うこと。これは野球のみにとどまらず生きるうえでも大切な日本人らしい精神性ではないだろうか。この心が若きバンクーバー新朝日軍に引き継がれていくことの素晴らしさを目のあたりにして、あらためて日本人であることを誇りを思う。 

(取材 今井まき)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。