麿赤兒率いる大駱駝艦バンクーバー初公演
舞踏家麿赤兒(まろあかじ)氏率いる舞踏集団「大駱駝艦(だいらくだかん)」は、1972年の旗揚げから日本の「舞踏」を牽引し、世界各国のダンスフェスティバルで鮮烈な印象と影響を与え続けてきた。 バンクーバー国際ダンスフェスティバル(VIDF)2015の目玉として、バンクーバー初公演が実現した。オタワでの初公演から28年ぶりのカナダ公演となる。
大駱駝艦 「ムシノホシ」 中央 麿赤兒氏写真 Hiroyuki Kawashima
今回カナダプレミアとなる「ムシノホシ」は、麿赤兒氏が2011年の東日本大震災後生じた社会への疑問をもとに発想した作品だ。
40周年記念公演「ウィルス」に続き、麿氏が振り付け演出、音楽は尺八演奏家の土井啓輔氏、米国人テクノDJジェフ・ミルズ氏が担当している。昨年6月東京で初演された。
ムシノホシ—「ムシ」が優れた存在であるというもう一つの世界。
環境に適応しながら進化してきた「ムシ」たちに比べ、人間達は、環境を変えることによって発展を続けてきた。本作では「ムシ」を宇宙からのメッセージを受け止める存在として捉え、傲慢(ごうまん)な人間の行いに警鐘を鳴らしている。
体を白塗りした22人のダンサーや、100本以上の鉄パイプによる舞台美術が圧巻の舞台を作り上げる。
大駱駝艦 「ムシノホシ」 麿赤兒氏 写真 Hiroyuki Kawashima
1972年から活動を続ける、舞踏集団「大駱駝艦」は、超現実主義的な舞踏、白塗りを特徴とするボディペインティングや剃髪、空想的な衣装、舞台装置が特徴で、世界各国のダンスフェスティバルに参加し好評を博してきた。
「大駱駝艦舞踏」は、土方巽(ひじかたたつみ)氏に師事した麿氏が、断片化された動きを取り入れるなど劇的な振り付けや演出を用いて「舞踏」を独自に発展させたものだ。
麿氏は映画「キル・ビルVol.1(クエンティン・タランティーノ監督)」や、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」など数々のドラマなどでも活躍しており、若い世代には役者としての印象が強いかもしれない。 本公演は、バンクーバーで麿氏の円熟した舞踏に触れる貴重な機会となる。
今年で15回を迎えるVIDFには3月8日から28日の間、大駱駝艦の他ハンガリーやカナダ国内から8つのダンスカンパニーが参加する。期間中は公演の他、ワークショップなども行われる。
今年のVIDFでは、一昨年日本で麿氏に師事したバンクーバーの「ココロダンス」の公演も予定されている。VIDFの芸術監督バーバラ・ボアジェ氏は「舞踏のパイオニア的存在である大駱駝艦をVIDFに迎えるのは非常に光栄な事だ」と話している。
公演は、バンクーバープレイハウスにて、3月20日、21日午後8時の2回。
料金 $40 〜$50 または全公演パス$98
(1 Vancouver Playhouse ticket + 3 Roundhouse tickets)
詳細情報は、VIDF vidf.ca
電話604.662.4966まで。
(取材 大倉野昌子)