ミラー由紀子さんを偲ぶ会

 

20年近くにわたりBC州ビクトリアで多くの人に親しまれ、2003年2月に卵巣がんのため亡くなったミラー由紀子さんを偲ぶ会が2月21日、デルタ市内で開かれた。いつも明るく温かく、日本女性の鑑のような存在だった由紀子さんは、ビクトリア市と盛岡市が姉妹都市になった時には通訳を務めるなど、コミュニティで幅広く活躍した。偲ぶ会には約20人が参加し、由紀子さんの思い出を語り合った。

 

 在りし日のミラー由紀子さん。凛とした着物姿が印象的な女性だった(写真提供 アダムス弘美さん)

 

ファミリードクターの夫を支えて

 結婚を機に渡加した由紀子さんは、UBCの医学生だった夫のジョン・ミラーさんを懸命にサポート。その後ジョンさんはファミリードクターになり、ビクトリアでクリニックを開業した。このクリニックで由紀子さんは長年にわたり受付を担当し、患者との交流をとても大切にしていた。手塩にかけて育てた二人の子供たちも医療の道に進み、現在長男のフィリップさんは医師、長女のマリコさんは看護師としてバンクーバーで活躍している。今回の偲ぶ会にはフィリップさんとマリコさんも出席した。

 

由紀子さんへの思いを込めてハープを演奏するアダムス弘美さん

 

美しい歌声を響かせた声楽家のイヴリン・デラヘイさん(右)とハープを演奏したシルク・ビリングスさん

 

美しい音楽と踊りが華を添えた偲ぶ会

 偲ぶ会では、音楽の演奏や日本舞踊も行われた。声楽家のイヴリン・デラヘイさんは、ヘンデル作曲のオペラ「リナルド」の中のアリア「私を泣かせてください」など2曲を独唱し、澄んだ歌声で聴衆を引き込んだ。主催者のアダムス弘美さんは、ハープで日本古謡「さくらさくら」を演奏し、由紀子さんへの思いを美しい音楽で表現。また、西川佳洋さんは、シルク・ビリングスさんによるハープの演奏に合わせて、優雅な日本舞踊を披露した。

 

日本舞踊を披露した西川佳洋さん。ハープの演奏と共に「さくらさくら」を踊った

 

由紀子さんの思い出

 由紀子さんとはまるで双子の姉妹のように親しかったというアダムス弘美さんは、「日本舞踊、お料理、何でもできる方でした。温かい人柄で、皆さんに慕われていましたね」と故人を偲んだ。日本橋出身の由紀子さんは着物を着て行事に出席することが多く、友人の種村順子さんは「とてもきれいな方で、まさに竹久夢二が描く日本女性でした」と振り返った。病状が悪化し、死を覚悟してからも、自らのお別れパーティを企画・開催したほど前向きで強かった由紀子さん。死後12年経った今も、由紀子さんは家族と友人の心の中に生き続けている。

 

(取材 船山祐衣)

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