桑原誠司さん個展「イルミネーション」
スタイリッシュな家具から放たれた鮮烈な青、そして淡く白い光ーー。 地元で活躍するデザイナー桑原誠司さんの個展が2月7日から22日、バンクーバーのギャラリー、ビジュアルスペースで開催された。
作品「Nagare」(左)と「Akaribito」(右)
デザイン性と機能性を兼ね備えた作品が並ぶ
来場者から「家具とライティングの見方が変わった」と最も注目を浴びた作品は「流れ」(写真①・左)。ブラックウォールナットの木肌に切り込まれた、流れるような細いラインから青い光がもれる。斬新なデザインでありながら、不思議と落ち着くのはなぜだろう。それは無垢材の持つ重厚感のせいだろうか。
川をイメージし、ライティングを取り入れるアイディアは、餃子キンググループの店舗のカウンターテーブル製作時に店のオーナーの要望に応える過程で生まれたもの。その作品への反響で、すでに手応えは感じていた。「常識にとらわれず、独自の視点を持ち、自分の勘を信じて」これが誠司流だ。
「今後可能な限りグローバルな活動をしていきます」と語る桑原誠司さんと、仕事でも大事なパートナーの桑原日満里(ひまり)さん
本物がわかる人の目に留まるものを
2003年、手作り家具の会社「イン・エレメント・デザインズ」を創業。特注、定番を問わず、家具全般の製作を手がけ、ニューヨークほかのフェアへの出品も経験した今、個展のテーマを「明かり(照)」にしたのは、ランプ製作に集中していた駆け出し時代の「初心を振り返るため」だという。誠司さんの話は職人らしく、材質や細部の作り、そして作品の堅牢さに進んでいく。
作品からあふれる落ち着きと癒しーそれは木目をじっくり見つめて製作した時間がもたらした奥行きのせいかもしれない。
In Element Designs ウェブサイト www.inelement.ca 電話 604-253-1177
(取材 平野香利、写真撮影・提供 ユキコ・オンリーさん)