在バンクーバー日本国総領事館開館125周年記念
『A Japanese Celebration』
3月1日、バンクーバー交響楽団(VSO)がヴァイオリニストの諏訪内晶子さんをゲストに『ジャパニーズ・セレブレーション』と題したコンサートを開催した。 オーフィアム・シアターの舞台には着物姿と蝶ネクタイの日系合唱団。オーケストラの演奏とともに『赤とんぼ』『花は咲く』など総勢70人の歌声が場内に響きわたった。
着物と蝶ネクタイでコンサートに臨んだ日系合唱団有志の皆さん
民謡の旋律も
和太鼓の音を表現する打楽器の組み合わせで始まった『管弦楽のためのラプソディ』(外山雄三)。軽やかなリズムとともに『あんたがたどこさ』や『ソーラン節』など、聴き覚えのある民謡の旋律が流れてくる。
郷愁をおびたようなフルートの音色に続いて、勢いある大太鼓のリズム。打楽器が大活躍するこの曲は、日本をテーマにしたコンサートの幕開けにふさわしい選曲だった。
『さくら さくら』
成谷百合子さん(生田流宮城会)のお筝とVSOコンサート・マスターのデール・バールトロップさんによる『さくら さくら』(宮城道雄)では、癒されるような筝の音色にヴァイオリンの響きが重なる。
オーフィアムという大舞台で弦を弾く成谷さんの成熟した演奏に、場内から大きな拍手が沸いた。
成谷百合子さんとVSOコンサートマスター、デール・バールトロップさんによる『さくら さくら』の演奏
VSOと初共演 諏訪内晶子さん
1990年、史上最年少でチャイコフスキー国際コンクールで優勝したヴァイオリニストの諏訪内晶子さん。現在は日本とヨーロッパでの演奏活動が多く、VSOとは初めての共演だった。
1714年製作のストラディヴァリウス『ドルフィン』を操り、のびやかな音色で奏でるベートーヴェンの『ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61』。これを機に北米での演奏が増えることに期待したい。
『花は咲く』
VSO前社長ジェフ・アレクサンダー氏の妻の恵子さんが尽力し、チケット販売や着付けなど、多くの人びとの協力を得て迎えた当日。色とりどりの着物を着た女性メンバーたちの姿が舞台を華やかに演出した。
さくらシンガーズ、カトレアコーラス、ウィンズ・クワイアー、NAVコーラスの四つの日系合唱団に有志が加わった総勢70人がオーケストラ(ゴードン・ジェラード指揮)の演奏で『花は咲く』『赤とんぼ』と『大地讃頌』を大合唱。震災復興応援ソングとして知られる『花は咲く』には在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏の電子サックスが加わり「花は、花は、花は咲く」と何度も繰り返す歌声が場内に広がった。
「大きなホールでの初めての経験でしたが、指揮者のタクトが読み取れて全員がよく揃って歌いました」「アメリカに移住するアレクサンダーさんの最後のお仕事に感謝しています」と、合唱団ミュージック・ディレクターの皆さん。
早咲きの桜が美しいバンクーバーで、日本をテーマにした演奏会は大きな感動とともに幕を閉じた。
ベートーヴェンの『ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61』を演奏したゲストの諏訪内晶子さん
(取材 ルイーズ阿久沢 写真提供 VSO)