チャリティコンサート「ちむぐくる」

 

10月16日、東日本大震災の被災者支援のためのチャリティーコンサート「ちむぐくる」が、バーナビー市のマイケルJフォックスシアターで開催された。「鼓衆(ちぢんしゅう)若(わか)太陽(てぃーだ)」とバンクーバー沖縄太鼓との共催だ。また、コンサートには、シンガーソングライターの日出克(ひでかつ)さんと美音(みおん)さん、宮古民謡の清村斉さん、そして過去3年間、やはり東日本大震災の被災者のためにチャリティ活動を続けているジャネット・ツキオカさんがゲスト出演した。

 

フィナーレのもーれ・もーれでは観客も舞台に上がり、盛り上がった

鼓衆若太陽とバンクーバー沖縄太鼓の皆さん

 

 2012年にチャリティーコンサート「ちむぐくる」を開催して、好評だった鼓衆(ちぢんしゅう)若(わか)太陽(てぃーだ)が、二年ぶりに戻ってきた。コンサートはバンクーバー沖縄太鼓(旧名称:友愛会琉球太鼓)との共催で、バンクーバー日本国総領事館開館125周年イベントのひとつ。ダイナミックな太鼓で、集まった約250人の観客を魅了した。

 沖縄県浦添市に拠点を置く、鼓衆若太陽は、琉球太鼓を通して沖縄県の伝統芸能の保存、継承、そして健全な青少年の育成に取り組んでいる。結成して今年で22年になる現在は、13団体、200人を超える子どもたちが活動している。以前から2年に1度の頻度でシアトルを訪れている鼓衆若太陽が、バンクーバーにも足を延ばすこととなったのは、2012年にバンクーバー沖縄太鼓が世界エイサー大会に出場したことがきっかけだ。

 コンサートの名称、「ちむぐくる」は、沖縄の言葉で、いたわりの心や助け合う気持ちを指す。「ちむぐくる」コンサートでは、収益金はあしなが東日本大震災遺児支援募金に寄付するというものだ。在バンクーバー日本国総領事館首席領事、内田晃さん、そしてバンクーバー沖縄太鼓、代表、花城正美さんの挨拶の後、震災の犠牲者に黙とうを行ってからコンサートが始まった。

 

会場では折鶴の販売も

出口で観客を見送る奏者たち

コンサート開始前に観客を案内するバンクーバー沖縄太鼓のメンバー

 

 プログラムは沖縄太鼓に加えて、三線職人でもある清村斉さんの力強い宮古民謡、唄者、美音さんの澄み渡った歌声、沖縄の伝統音楽を現代風にアレンジしたパイオニアでもある日出克さんの斬新なサウンドと、バラエティに富んだ内容。見事なばちさばきの勇壮な大太鼓や、太鼓やパーランクーを持って踊る、躍動感あふれる、念仏踊りのエイサーでも、観客を夢中にした。バンクーバー沖縄太鼓もミルクナリやシンカヌチャーを演奏したほか、鼓衆若太陽からの琉球空手のパフォーマンスや、琉球獅子舞の披露もあった。

 フィナーレは、踊れ、踊れという意味のもーれ・もーれ。参加者全員で喜びを分かち合うためのカチャーシー的な曲で、ちむぐくるの締めくくりにぴったりだ。カチャーシーは祭りや結婚式などの沖縄での祝いごとの最後に踊るものだ。最初は戸惑っていた観客も、奏者が舞台から降りてくると、一緒になって盛り上がった。

 コンサートのことは友人から聞いたというスーザンさんは「沖縄の太鼓は初めて聞きましたが、エネルギーにあふれる演奏で素晴らしかった」と語った。また、新聞で広告を見たというテリーさんは「とても素敵でした。今までに見たTAIKO(太鼓)とは違って、面白かったです。来てよかった!」と大きな拍手を送っていた。

 鼓衆若太陽の代表、外間則光さんは「バンクーバーの観客の皆さんにパワーをいただきました」と話した。今回は4人の中学生と9人の高校生を含む総勢24人のメンバーでの北米遠征だという。コンサートが終わって、バスで滞在拠点としているシアトルへと舞い戻った。収益2075ドルは「あしなが育英会東日本大震災遺児支援募金」に寄付される。

 

(取材 西川桂子)

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