第4回 コミュニティ・アワード&ファンドレイジング・ディナー

 

秋晴れの9月20日、日系文化センター・博物館で、日系プレースと日系カナダ人コミュニティに貢献した地域のリーダーや団体に感謝の意を表するためのコミュニティ賞授賞式と、日系プレースの活動への寄付金を募るディナーが催された。ディナーはウエストバンクーバーの「禅」の美味しく、オーシャンワイズ認定を受けたサステイナブルな5コース料理。日系コミュニティを中心に、人気のイベントで、チケットは売り切れで約225人が集まる盛会となった。授賞式後にはプロの競り人の威勢のよい掛け声で雰囲気が盛り上がったライブオークション、そしてラッフル抽選会が行われた。

 

バンクーバー日本語学校並びに日系人会館の本間真理さん(右)と宇都里香さん(左)

 

 コミュニティ・アワード&ファンドレイジング・ディナーは、日系文化センター・博物館、日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会(日系ホームと新さくら荘を運営)の運営支援を目的に生まれた、非営利団体、日系プレース基金が開催する。日系プレースと日系カナダ人コミュニティに貢献した地域のリーダーや団体に感謝の意を表するためのコミュニティ賞授賞式と、日系プレースの活動への寄付金を募ることを目的にしている。今年の寄付金は、日系文化センター・博物館の活動資金に加えて、日系ホームの「コールボタン」システム設置と日系ガーデンのメンテナンスのためのものだ。

 入居者がスタッフの助けを求めるときに利用する日系ホームの「コールボタン」は、入居者の安全確保に重要な役割を果たしているが、現在のシステムは旧式で、入居者のスイート内でしか作動しない。日系ホーム内のどこにいても対応できるような「コールボタン」に変える予算が6万5000ドルだという。

 

コミュニティサービス賞を受賞したスティーブストン仏教会のバッド・サカモトさん

 

 また、日系文化センター・博物館の正面にある日系ガーデンは、8月末の日系祭りをはじめ、さまざまなイベントで利用され、日系ホームや新さくら荘の入居者、そして日系文化センター・博物館を訪れる子どもたちの憩いの場でもある。特に高齢者が安全にガーデンを楽しむことができるよう、電灯の設置や芝生のメンテナンスなどに資金が必要だ。

 

コミュニティサービス賞を受賞した、月報THE Bulletinのジョン・エンドウ・グリーナウェイさん(右)とお嬢さん(左)

 

コミュニティ・アワード

 今年のコミュニティ・アワード&ファンドレイジング・ディナーのテーマは「Foundations(礎-いしずえ)」。力強く、活気のあるコミュニティ、ひいてはより強いカナダを築くことに貢献した個人や団体に対してアワードが贈られた。

 受賞者はコミュニティサービス賞が月報JCCA THE Bulletin、スティーブストン仏教会、バンクーバー日本語学校並びに日系人会館の3団体、そして、特別功労賞がデヴィッド・スズキさんだ。

 日系カナダ人協会(JCCA)による月刊誌、月報JCCA THE Bulletinは、BC州が100周年を迎えた1958年に第一号が発行された。以後、56年の長きにわたり、日系コミュニティをつないできた。

 スティーブストン仏教会は、サケ漁が盛んで缶詰工場があり、大きな日系コミュニティがあったスティーブストンで1928年に創立。仲間が集う場所、学びの場、第二の家として、日系人を支えている。バンクーバー日本語学校並びに日系人会館は、初期移住者の子弟に日本語教育と日本文化継承を行うために1906年に生まれた。太平洋戦争で強制的に閉鎖されたものの、1952年に学校を再開。2000年に新館が建設されてからは、門戸を広げて、異文化交流にも努めている。

 カナダにおける、そして日系人・日系カナダ人コミュニティにおけるリーダーとして重要な役割を果たしてきた個人に贈られる特別功労賞は、日系3世のデヴィッド・スズキさんが受賞。科学者、教育者、環境活動家、作家、テレビ番組キャスターなど、さまざまな分野で活躍している。

 

在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏と寧子夫人(中央と右)、日系文化センター・博物館前理事長の林光夫さん(左)。岡田総領事は「日系人コミュニティがさまざまな活動を活発に行っていくのは非常に重要なことだと思います」と語った

 

 また、科学上の発見、環境保護などでの功績で、カナダ勲章や国際連合教育科学文化期間のカリンガ科学賞、もうひとつのノーベル賞とも呼ばれるライト・ライブリフッド賞をはじめ、大きな賞を多数受賞している。世界各地の大学で28の学位を取得しているほか、CBCのテレビ番組『ネイチャー・オブ・シングス』を担当して、複雑で難しい話題を、どんな世代の人でも理解できるよう、わかりやすく紹介してきた。

 9月24日から始まるブルー・ドット・ツアーではニューファンドランドのセントジョンズからビクトリアまでカナダの20の都市を訪れ、カナダ人がきれいな空気を吸い、きれいな水を飲み、健康に良い食物を食べる権利に対する認識を高めるのが目的だ。  

 

デヴィッド・スズキさんの スピーチの要旨

  ここに両親がいてくれたらと、どんなに(日系プレース基金からの特別功労賞の)受賞を喜んでくれたかと思います。受賞は私だけのものではありません。これまで人生で重要な役割を果たしてくれた人たちに感謝します。

 テレビの仕事を始めたばかりの頃、収録に時間がかかるのにイライラしていたら、ボスに「ここにいるみんなが君をよく見せようと頑張っている。そして、それは簡単なことじゃないんだ」と言われました。テレビ番組の制作でも、照明、音響…と多くのスタッフが尽力してくれます。でも、番組を見て「あの照明よかったね」とはなりません。『すばらしい番組だった』です。番組について私が褒めてもらいますが、背後にたくさんの人の支えがあります。今回の受賞も同じようなものです。今の私があるのは、姉妹、先生、妻をはじめ、とても多くの人たち、特に両親のおかげです。両親は私の人生で最も大きな役割を果たしました。

 

「(宇宙探査船)ボイジャーがカール・セーガンの提案で撮影した写真では、地球はちっぽけな青い点(ブルードット)にすぎません。カール・セーガンはその地球が巨大な宇宙における私たちの唯一の住処なのだから、互いに気を配らなければならないと書いています。私たちが9月24日から開始する健康的な環境実現のための草の根活動、ブルードットツアーにもご協力ください」と語るデビッド・スズキさん

 

 以前は自分のことを老人だとは考えたくなかったのですが、今は話をするときは、高齢者として、『おじいちゃん』としてお話します。シニアは社会において特別な役割があると思っています。恐れることなく、率直な気持ちを伝えることができます。今までに間違いも犯しましたが、同時に多くのことを学んできました。それを若い世代に伝えるのが私たちの仕事だと思います。

 日系三世として生まれた私は、戦争中、スローカンの収容所に抑留されました。そこで、日本語を話せなかったためにいじめにあいました。私の親友はHapa、混血の子どもでした。白人の父を持っていた彼女は、日本人の子どもたちからひどい扱いを受けていました。子どもたちは年長者から学びます。差別を目撃するのは重要な経験でした。

 父は私の良き師でありましたが、完璧ではありませんでした。英国人から差別を受けた父は英国人が嫌いでした。妻のタラは英国系であったため、父から意地悪な仕打ちを受けました。差別は連鎖します。

 日系カナダ人がカナダで成功するためには、白人の倍、努力をしなければならないと、父は信じていました。教育を重視していて、日系人の問題のひとつは、恥ずかしがりなことだと考え、弁論大会に参加させられました。毎日、スピーチの練習をさせられて、つらかったですが、おかげで強力なツール、パブリックスピーキングを身に付けることができました。

  

(取材 西川桂子)

 

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