キツラノショーボートのショーに大喝采

  

透き通る海、押しては返す波の音、緑のなかに鮮やかに咲く花々…。そんなゆったりしたハワイの光景がキツラノビーチに重なるひと時があった。8月1日、ハワイアンのダンス「フラ」を踊るワイレレワイワイ総勢42人は、バンクーバーのキツラノショーボートのステージで全12演目を優雅に美しく踊り収めた。

 

ハワイ島から指導のために訪れたマイレ・ヤマナカさん(写真左)と山本ヨシテルさん(右)

 

神聖さから陽気さまで豊かに表現

 午後8時、雲が西日をさえぎり涼しさも漂う中、ハワイ島から訪加中のクム(フラの師匠)であるマイレ・ヤマナカさんが天を仰ぎ、愛を招き入れるように祈りの言葉を捧げ、ステージが開幕した。

 そのマイレさんの直弟子であり、ワイレレワイワイを率いるヨシさんこと、山本ヨシテルさんとの二人のフラからは、家族のような親しみが感じられた。その後、情熱的な花の香りを、赤のドレスとゆったりした動作にこめて踊る『カ・ヒナノ・オ・プナ』をはじめ、アップテンポの曲を青い衣装の男女が楽しく踊る『マイ・リトル・グラス・シャック』やソロの踊りなど、演目ごとに衣装も情感も異なる工夫された舞台が展開した。

 ひときわ会場を湧かせたのは男性3人による踊り。川の中の魚を捕まえたりカヌーを漕いだりの格好いい男っぷりを得意気に表現。そのコミカルな動きのたびに拍手と歓声が起こった。

 

ハワイの花々の香りが漂ってくるような踊りを披露

 

穏やかなやさしい情感表現のために

 今年で連続7回目の出演となるキツラノショーボートでのステージ。最初の年は6人だったメンバーも今や50人以上に。フラは、曲に登場する海や山、愛の言葉一つ一つを手話のように動作で表現するのが特徴。日頃の指導に当たるヨシさんがメンバーによく語るのは「すべてのものを愛するように踊ること」。すると「普段の生活でもすべてを愛するようになれる」という。繊細でやさしい情感を伝える工夫について尋ねると「謙虚に愛する気持ちが穏やかにつながります」とヨシさん。ヨシさんの師匠のマイレさんが強調するのは「あなたのストーリーを語りなさい」。「楽しさを表現したいときは、あなたにとって楽しいことを思い出して、愛を表現するときは、あなたが一番愛おしく思っている存在を抱き慈しむように」表現するのだという。

 

ハワイアンガイの腕前を陽気に表現。会場を大いに湧かせた

『ハナレイ・ムーン』を優雅にソロで踊った土井夏子さん

 

フラの喜びがステージがあふれて

 そうした教えを受け止めてステージに立つメンバーたち。最後の演目はワイレレワイワイのオリジナルソング『アロハ・マハロ』。全員がステージに上がり、メンバーの生演奏をバックに笑顔で「アロハ(愛しています)」「マハロ(ありがとう)」と繰り返しながら踊り終えると、その温かいプレゼントに観客が応えるように大きな拍手を贈った。空には真っ赤な夕焼けが広がり、天からも祝福が感じられる夕べとなった。

 

19世紀誕生の曲に、その時代の衣装を身に着けて踊った

見事な夕焼け空のもとで華やかなステージの最後を締めくくった

  

(取材 平野香利 写真撮影 平野直樹)

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