アドバンス・ケア・プラニング 

隣組でワークショップ開催

 

老後の準備できていますか?

  

 

7月23日午後1時半から、隣組で日本人シニアのために、老後の準備に関するワークショップが行われた。講師は日英バイリンガルの森永正雄弁護士。あいにくの雨にもかかわらず会場には、30分以上前からシニアたちが一人二人と集まり、開始時刻には定員の約30人が会場を埋めた。参加者の大半はシニアで自分自身のために参加したほか、若い年齢層の人たちも、親の介護や将来の自分たちの老後の準備のためにということで参加していた。  

森永正雄弁護士(右)と隣組コミュニティー・サービスの高科磨理子さん(左)

 

このようなワークショップを開くことになった理由としてまずあげられるのは、バンクーバーに住む日本人にとっても、国の人口の高齢化が大きな問題になってきている点だ。1960〜80年代にカナダにやって来た日本人の多くが、今ではシニアの仲間入りをしている。さらに、バンクーバーに住む日本人は、高齢化に加えて言葉と文化のギャップを克服しなくてはいけないという、かなり厳しい現状を余儀なくされている。  

 

ブリティッシュ・コロンビア州政府は市民の高齢化問題に対処する一つの手がかりとして、「マイボイス」という小冊子を刊行した。この冊子では、認知症などで意思決定能力を失ったときには、どのような健康管理と財産管理を望むか、前もってきちんと計画する(アドバンス・ケア・プラニング)について説明されている。ただし、「マイボイス」は、法的な内容がかなりあるため、かなり英語に慣れている人でも理解するのは決して容易ではない。カナダに来て何年か経つうちに、ほとんどの人が簡単な日常会話はどうにかこなせるようになるだろう。しかし、少し込み入った法律的なことになると別問題だ。そこで、隣組のコミュニティー・サービス担当である高科磨理子さんが中心となり、数回に分けて「マイボイス」の解説をするワークショップを計画した。  

 

体験談を語るボランティアの及川照子さん

 

当日のワークショップでは、隣組メンバーの1人でもあり、このプロジェクトのボランティアをしている及川照子さんの体験談から始まった。及川さんは以前母親を介護していた時に体験した、病院側との意志疎通の難しさを大変印象的に語ってくれた。  

 

続いて、森永弁護士による「マイボイス」の解説が行われた。語彙集の和訳も用意されており、それを参考にしながら説明を聞く。森永弁護士はバンクーバーで生まれ育ったが、幼少の頃からグレード12まで日本語学校で日本語を勉強してきた。UBCの法学部を卒業後、現在はリッチモンドの法律事務所に勤務。バンクーバーでは大変貴重な存在の日英バイリンガルの弁護士である。  

 

今回はイントロダクションという形で、老後に起こりうる医療関係での問題点をいくつか提起し、それをどうやって克服するかを、BC州政府が提示しているアドバンス・ケア・プラニングにそって、大変分かりやすく説明。  

 

このワークショップは、今回が1回目で、9月17日に2回目が行われる。次回のワークショップでは、今回の見直しをしたあと、実例の紹介と、実際に必要な書類をどのように作成するかということを具体的に学ぶ予定だ。 

 

BC州刊行の小冊子「マイボイス」とその一部の和訳

 

詳細は、隣組まで問い合わせのこと。

電話:604-687-2172

月〜金:午前9時〜午後5時

(取材 王由利)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。