2014年日本代表 灯屋煙火店 須田崇徳さん
バンクーバーの夏の風物詩、ホンダ・セレブレーション・オブ・ライトは、イングリッシュベイで7月末から8月初めにかけて行われる花火大会だ。音楽に合わせて花火を打ち上げることが特徴で、毎年、約3カ国を代表するチームが花火の美しさを競い合う。日本代表として8月2日に花火を上げる、花火師、灯屋煙火店の須田崇徳さんに話を聞いた。
8月2日に日本代表として花火を打ち上げる須田崇徳さん
『日本文化いろは事典』によると、「花火師とは花火の製造や打ち上げ、そして花火大会の準備・運営までを仕事とする職人です。冬場に花火作りといった地道な作業を行い、夏場の華やかな花火大会へ向けて準備をします。夏の夜空を鮮やかに彩る花火大会の裏方を務める職人さんです」とある。
須田崇徳さんをインターネットで検索すると、『ガイアの夜明け』で若手ナンバー1として登場している。現在38歳、花火歴13年。
―この仕事を始めたきっかけは?
地元の花火大会でアルバイトをしたのをきっかけに花火の面白さにひかれて始めました。
―花火の仕事で一番、おもしろいと思うことは?
自分のデザイン(設計)した花火大会で多くのお客さんから拍手が出た時です。
―一番苦労することは何でしょう?
デザインの試し打ちができないのでぶっつけ本番しかないことです。頭の中の創造と本番では、タイミングや花火の飛び方が違っていたりすることです。
―花火の玉づくりは手作業だということですが、デザインはコンピュータを使うようですね。昔ながらの職人の仕事と、ハイテクの両面があっておもしろく感じました。
そうですね、花火は工場で作り、コンピュータでデザインをして、現場では、設置作業。花火のように始まりから終わりまでを実行できる仕事はあまりないと思います。だから余計に一つの花火大会への思い入れが強くなるのでしょうね。
―今年、ご自身で会社、灯屋煙火店を立ち上げたということですね。
はい、自社での国際大会は今回が初めてです。
―今回のプログラムは何分間ですか?
26分間のショーです。
―その間にだいたい何発ぐらいの花火を上げるのでしょう?
約2200発です。
―すごい数ですね。複数の花火大会に参加するため平行作業されていると思いますが、セレブレーション・オブ・ライトはいつから準備に入っていらっしゃるのでしょうか?
2月から準備作業を始めています。
―マカオの国際花火大会に参加したときには肝心の花火の到着が遅れたと聞いています。 ほかにもこんな困ったことがあったというお話があれば教えてください。
世界各国に花火大会がありますが、世界中で日本だけが花火の大きさを日本の昔の単位寸で製造しているため、他の国の打ち上げする道具を使用するときに、サイズが合わずに設置できない時があります。(ほかの国はすべてインチ)
―セレブレーション・オブ・ライトのように音楽に合わせて花火を上げるというのは、海外では一般的ですが、日本ではあまりないようですね?
日本の花火はお盆に打ち上げる習慣から死者への鎮魂、送り火、迎え火の意味で上げていました。そのため、音楽を使ったショーとは違った意味での花火を打ち上げてきましたが、ここ近年は、音楽を使用した花火も多くなってきました。
―須田さんは開催地の歴史や文化も研究して、ショーをデザインしているそうですが、今回は?
自然と山をイメージして、デザインしました。
―最後に新報読者にメッセージを。
新会社になって最初の海外での花火大会ですの無事に打ち上がることと、現地の観ている皆さんに楽しんでいただける花火を打ち上げたいと思いますので、よろしくお願いします。
今も手作業が多い花火の製造過程
須田崇徳さんの灯屋煙火店が、日本代表として登場するのは8月2日午後10時から。「自然と山」をイメージした花火を本番で見るのが楽しみだ。
(取材 西川桂子)