Zest 

 

 キツラノの閑静な住宅街の片隅にたたずむスマートなジャパニーズ・レストラン「Zest」。以前はガソリンスタンドだったという西16番街とマクドナルドの北東の角地に、ブロードウエー南側のキツラノ地区では初めてのジャパニーズ・レストランとして2005年、「Zest」がオープンした。

 

 店名の「Zest」は、レモンピールのように料理やお菓子作りのときに使われるレモンやオレンジの皮のこと。また、そのように少量で爽やかな香りを醸し出すものという意味や、熱意や強い興味、関心という意味もある。新鮮な食材とアイディア、絶えず燃え続ける情熱を「Zest」 という、ごくシンプルな名前で的確に表現している。  オーナーの片岡伊織さんは、1988年に来加、2年後に前夫と「吉桃」を立ち上げた。のちに独立し、2005年に当時「四条レストラン」の寿司シェフだった馬庭義明さんと「Zest」の共同経営を始めた。キツラノの「Zest Japanese Cuisine」とダウンタウンの「Shuraku Sake Bar and Bistro」のオーナーである片岡さんは、 日系女性起業家協会(JWBA)の副会長も務めている。  共同経営者であり、シェフでもある馬庭さんは京都生まれの京都育ち。青年時代にヨーロッパなどを旅し、異国のさまざまな食文化に接したことが、現在の馬庭さんの料理に対するビジョンとセンスを築く貴重な経験となっている。「Zest」という店名は馬庭さんのアイディアである。

 

ゴールドメダルを祝って乾杯する馬庭義明さんと片桐龍也さん

 

 2008年には片岡・馬庭チームに若手のシェフ兼ワイン・ディレクターの片桐龍也さんが加わった。片桐さんは東京出身。東京では和食店に勤務、来加後はカルガリーのイタリアン・レストランでシェフを務めた。今ではその経験を生かして、和食にイタリアンを始めとする洋食のタッチを加え、新鮮なメニューを生み出している。  「Zest」 は、今年5月にバンクーバーマガジンが毎年主催するレストラン大賞のうち、高級ジャパニーズ・レストランのカテゴリーで見事金賞を獲得。このイベントは今年で25回目になり、シルバー・アニバーサリーとして5月号に特集として掲載された。銀賞はウエスト・ブロードウエーの「Tojo’s」、銅賞はイエール・タウンにある「Minami」だった。

 

「Zest」のオーナー兼酒ソムリエ、片岡伊織さん

  

 「Zest」 が金賞受賞をした理由として、審査員たちは サービスの素晴らしさ、選りすぐられたワインリスト、ローカルな食材をふんだんに使った変化に富んだ日替わりメニュー(フレッシュシート)の充実をあげている。さらに今年は、バンクーバー西側のレストランというカテゴリーでも銅賞を獲得した。この部門では全てのレストランが対象になるので、競争はかなり激しい。また、今年のバンクーバー国際ワイン祭では見事金賞を獲得している。

 

バンクーバーマガジンとワイン・フェスティバルで勝ち取った金賞の盾

 

 2005年の開店後10年足らずで、日本食でナンバーワンの地位を築いた「Zest」には定番メニューのほかにも、新鮮な季節の野菜や魚介類を使った日替わりメニューがある。その中にはローカルの食材に限らず、フランスから空輸したホワイトアスパラガスなどもある。  また、一品料理に加えて 、3種類のコースディナーがある。トラディショナルな和食コース(1人60ドル)、お任せコース(1人90ドル〜)、気軽に試せるテイスティング・コース(1人45ドル)。お任せコースは、シェフがお客様の好みや希望に応じて、カスタムメイドの料理を用意している。  「Zest」では貸し切りのディナーパーティーが1、2カ月に一度行われている。さらに、酒ディナーやワインディナーも開催されている。「Zestジャパニーズ・レストラン」の詳細は、ウエブサイトwww.zestjapanese.comで。

 

シルバーアニバーサリーを記念するバンクーバーマガジン5月号

 

営業時間:火曜日〜日曜日 17:00〜22:00

2775 West 16th Avenue, Vancouver

604.731.ZEST(9378)

www.zestjapanese.com

(取材 王由利)

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