さくらシンガーズ・コンサート 

 

6月29日、バンクーバーの混声合唱団さくらシンガーズのコンサートがバーナビー市のマイケル・J・フォックス・シアターで開催された。1970年に結成され今年で44年目を迎えたさくらシンガーズは、日系のお祭りなどさまざまなイベントでその美しい歌声を聞かせてくれる。今年は在バンクーバー日本国総領事館開館125周年記念行事の一環として催され、開場前はコンサートホールの外まで人波が続いた。二部構成の6ステージという豪華な演出に約400人の観客は熱心に聴き入っていた。

 

第一部の混声合唱

 

命あることへの感謝 

 在バンクーバー日本国総領事の岡田誠司氏は冒頭の挨拶の中で、音楽は全ての国の人々の共通語であり、44年間の長さに及ぶ、さくらシンガーズの貢献と活躍を称えた。  プログラム第一部は日本人になじみの深い「荒城の月」「花」「お江戸日本橋」に続いて女性合唱が始まった。静かな哀愁の漂う「いのちの歌」では、すすり泣く声も聞かれた。そして「ゆうやけこやけ」「ずいずいずっころばし」「とおりゃんせ」など小さい頃口ずさんだわらべ歌で第一部終了。  第二部は衣装が和から洋へ替わり、命あることへの感謝を込めて組曲「二度とない人生だから」から5曲と、男性合唱による「上を向いて歩こう」「斎太郎節」などが力強く熱唱された。男性団員とさくらシンガーズOBと友人らの特別出演にも大きな拍手がわいた。  ステージの最後は、東日本大震災による傷跡が少しでも癒されることを願った「花は咲く」「それでも生きてゆく」「大地讃頌」が混声合唱で歌われた。コンサートの締めくくりは会場との合唱による「荒城の月」。歌詞は英語と日本語でプログラムに紹介され、会場のカナダ人も歌声を合わせた。

 

客席と共に唄う「荒城の月」

 

歌が好きな人は誰でも歓迎 

 さくらシンガーズ創始者で指揮者のルース鈴木先生は、カナダでオペラやソリストとして活躍していたソプラノ歌手でもある。40年以上も、カナダで日本の歌の普及に務め、2011年に外務大臣賞も受賞している。  2年に一回のコンサートではまずメインの組曲を選ぶ。今回は「二度とない人生だから」の組曲から自然にテーマが命の大切さになったという。ルース鈴木先生は毎週金曜日の練習に何年も熱心に通って下さっている団員の方々に対し、新しい組曲を通じて一つのお勉強を終えたような達成感を感じてもらいたいと常に思っているそうだ。  観客の方々に日本の歌の意味を分かっていただき、そして心に触れることができたらコンサートは成功なのです、とも語ってくれた。「元気あるかぎりまだまだ続けていきます」と笑顔たっぷりのルース鈴木先生とさくらシンガーズの今後の活躍に大いに期待したい。

 

OBも参加した男性合唱

 

 現在さくらシンガーズは男性・女性団員を募集している。歌に情熱を持ち熱心に通って下さる方、大歓迎、とのことだ。詳しくは www.thesakurasingers.orgを参照。

 

笑顔でステージに向かうルース鈴木先生

  

(取材 ジェナ・パーク)

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