チームワークと表現力抜群な演奏

 

一人でも欠ければ音楽が成り立たたない。
チームワークを学べるハンドベルの演奏は全員一年生。
できるまで、真夜中過ぎまで練習を続けたそうだ

 

人を大切にすることが音楽を大切にすること

1999年から2014年まで、6回にわたり来加している旭川商業高等学校吹奏楽部の顧問である佐藤淳先生は、「自分を大切にすること、嘘をつかないこと、どこまでも求めること、お互いを知ろうとすること、人を好きになること、すべてが音楽になることを知ること」の6つを基本に、自分を高めることが音楽を高めることにつながり、音楽を大切にすることが、人を大切にすることであることを吹奏楽部の活動を通し学んで欲しいと言う。リハーサル中も生徒の意見を尊重し、みんなでアイディアを出し合い、確認する姿が見られた。

 

 

生徒が全て企画を手掛けた、シスターがマフィアから市民を守る英語劇
『Joyful Joyful』では、会場が笑い声に包まれた

 

音楽は子供たちを輝かすもの

教育のプロになろうと決心した佐藤先生は、音楽は人を輝かすものだと言う。「挫折を乗り越え輝くようになった生徒たちの顔を見るのがとても楽しい。スターでなくても、誰もがそれぞれの輝きを持てるのが音楽。音楽はまさに、子供たちを輝かすものです。」と話し、「日本人はコツコツと勤勉ですが、カナダ人はパッション。日本は技術はあるが言われた通りにしかできない。一方でカナダはベーシックな練習はせず自由。この日本とカナダの両方を尊重したいですね。それによって人間が成長するので、それをカナダで生徒たちに体験してもらいたい」と笑顔で付け加えた。

コーディネーターの須藤ゆみさんによると、生徒たちはホスト校である、サザランド高校の音楽専攻の生徒や学校関係者の家庭などでホームステイを体験したという。来年は、サザランド高校の生徒たちが日本へ演奏旅行し、旭川商業高校の生徒たちの家庭にお世話になる予定とのこと。音楽を通して国際交流をする生徒たちは、サザランド高校でのコンサート後、クラスに参加して授業体験をした。カーソングラハム高校でのコンサートの後は、シニア(高学年)バンドの生徒たちと一緒にセッションをした。また、ブルックスバンク小学校でのコンサートの際には、小グループに分かれ各クラスを訪問し、折り紙や紙風船、剣玉、習字など日本文化を紹介した。

盛り上がる聴衆の反応で、演奏中の生徒たちの緊張した表情がどんどん生き生きとしたものに変わっていくのが分かった。演奏する側と聴衆が一体となったこのコンサートは、歓声が鳴り止まず、アンコールが何回も続きスタンディングオベーションの中、幕を閉じた。

(取材 門利容子)

 

アンコールでは目隠しをして、パーカッションを
反対側から演奏する生徒たちに大歓声があがった

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