2018年5月24日 第20号

 「数百人の老若男女ボランティアが、この日系センターの行事だけでもいるのですって! 何はともあれ良い日系コミュニティ、そこに生きるVancouverのこの老婆、計算機もない時代から生き続けて、ずいぶん時代遅れ。でもねぇ、なぜか「幸せ」なんです。」と先回、エッセイに書いた。

 そして、昨夜は2人の日本からの若者を連れてバンクーバーシンフォニーオーケストラのロックンロールコンサートに行った。招待状が4枚あったが3人しか行く人はいない。ロックミュージックって若者の音楽と思っていたら、劇場に集まった満員の観客の80%はなんと白髪頭。観客は若者ではなく老齢者だった。

 ともかく演奏は素晴らしかったし、最後に歌い手の助言で全員が携帯電話に電気をつけ、会場を観客が照らし、音楽に合わせてそれを揺らしていく。会場中は携帯の豆電球でいっぱい、それは綺麗! 電気を揺らしながら聴くロック。それは美しく、楽しかった!

   休憩時間にお手洗いに行こうと階段まで行き、あまりの人の多さにびっくりし、そこで立ち止まった。すると珍しい!若者だ。彼は「Do you need help?」と聞いた。階段を降りれないで困っている「老婆」と思ったらしい。瞬間、一緒に降りてもらおうかなぁ? と思ったが、「大丈夫、この階段くらいは一人で降りれる」と礼を言って、一人で降りた。

 今度は帰宅時、カナダラインは日本のラッシュアワーみたいに物凄く混んでいた。乗った途端に若者がすぐ席を譲ってくれた。他に盲目の杖をついた人と松葉杖の女性がいた。彼女達にも、若い女性が席を譲っていた。この3月にスーツケースをもって私は東京から新潟へ行った。その帰りの満員列車で、席を譲ってくれる人はいなかった。指定席も満員。辛かった。階段を下りるのに、小型スーツケースでも老婆には辛い。「日本の人は親切だし、優しいと思っているが、しかし、親切を行動に表す勇気がないのだ」と言った人がいる。そうなのかもしれない?

 家から1歩出ると「老人は甘やかさない、甘やかされない」とつぶやきながら、この老婆は歩いている。でも、ちょっとした親切、ドアを開けてくれたり、座席を譲ってもらったり、さみしい時に教会や、音楽会や、お茶会に誘っていただける。それだけで生きている喜びが倍になり感謝する。ましてや難聴老婆は満員席でマイクの近くに座らせて頂けると、もう「歓喜」するのだ。

 そうそう、つい最近耳の検査をしたらひどく聴力が落ちている。そして、耳穴添え付け補聴器をすすめられた。耳の穴に入れっぱなしで自分で外せない。シャワーを浴びても良いし入浴もOK、外す必要なし。1年使用料が4500ドル。それを使っている間中、毎年4500ドル支払う。この老婆には高い値段だ。でも、3週間の無料試し期間があるというので、もし宣伝どおり良ければ「手術を思えば、まあいいかぁ」と試しにやってみた。しかし、それはまるで拷問だった。よく聞こえるが音が割れて言葉にはなっていない。何の音か分からない。町を歩くと騒音がこの2つの耳にドッドーッと入ってくる。夜中に寝返りするたびにピピーピーと音がし、最初はちょっと痛かった。我慢し、2、3日で痛みは無くなり、今度はかゆみだ。

 かゆくても痛くても自分ではどうにもできない。2週間目に取り外して、今度は普通の補聴器にした。これならほぼ同じ4200ドル。とにかく、行くところ行くところ皆さまに何かとご迷惑をかける難聴者。でもねぇ、優しく世話して下さる方も多い。その一人一人に、老婆は『ありがたいなぁ』と感謝し、また「申し訳ないなぁ」とも思う。それなら出かけない方が良いかというと誰でも「いいよ、おいで」と誘って下さる。それって、ここバンクーバーだからなのか、それともどこへ行ってもそうなのかしらぁ?

 一生懸命働き、家族にも、社会にも貢献(?)して生きてきたこの長い人生。身体が自由にならなくなった時、これは順番だろうかねぇ。互いに親切にしあう人たちがいていいのだろう。

許 澄子

 

 

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