2017年6月15日 第24号

 「認知症」についていろいろなことが少しずつ解明され、早期発見、早期診断により、症状を改善したり、進行を緩やかにしたりできることがわかってきました。しかし、 正しい診断を受けない限り、知らず知らずのうちに認知症は進行し、後戻りはできなくなります。でも、認知症かもと疑った時、どこで診てもらえばいいのでしょう。

 皆さんご存知のように、カナダでは、専門医にかかるには、 ファミリー・ドクター(かかりつけ医)からの紹介が必要です。日本と違い、自分で専門医や病院を選ぶことができないため、まず、ファミリー・ドクターに相談することになります。ファミリー・ドクターがいなくても、ウォークイン・クリニックなどの医師に相談すれば、同じように専門医への紹介をしてくれます。認知症の初期症状が疑われる場合、ファミリー・ドクターから紹介される専門診療科は、おもに精神科、神経科、神経内科、脳神経外科です。老年科や認知症専門のクリニックがある病院もあります。

 しかし、初期の認知症の場合、本人に自覚がないこと、自覚があるからこそ症状を隠そうとしていることがあり、受診を拒むことが考えられます。無理強いすればさらに頑なになり、嘘をついて病院に連れて行こうとすれば、 家族への不信感が募ります。こういう状況では、連れて行く方法をあれこれ考えるより、ファミリー・ドクターから、定期検診の一環として専門医に診てもらうという説明があれば、 思いの外、簡単に受け入れてくれるかもしれません。

 専門診療科では、まず、医師による問診を中心とした診察が行われます。問診には、病歴や現在の健康状態も含まれ、本人と、付き添いの家族など身近で見ている人の両方から話を聞くのが一般的です。次に、認知機能テストを行います。認知症の症状が顕著に出る見当識(現在の年月、季節や時刻、自分のいる場所などの基本的な状況把握)、記憶力を中心に、計算能力、言語能力なども試されます。これには、「ミニ・メンタル・ステート試験(MMSE)」や、「モントリオール認知機能検査(MoCA)」といった認知機能テストが用いられます。日本では、この2種類のテストの他に、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS−R)」が最もよく使われています。

 問診や認知機能テストの結果から、認知症が疑われ、さらに詳しい検査が必要な場合は、CTスキャン( コンピューター断層撮影スキャン)やMRI検査(磁気共鳴画像検査)などの脳の画像検査が行われます。最近では、PET 検査(ポジトロン断層法検査)やSPECT検査(単一光子放射断層撮影検査)により、脳の血流の状態を観察することで、 部位ごとの機能低下を推測することができるようになりました。血液検査や尿検査、レントゲン撮影などの一般検査も、原因診断のためだけでなく、合併症の診断のために行われます。

 これらの検査の結果、認知症と診断されても、人生はおしまいではありません。特に初期段階では、できることが沢山あります。認知症が進行し、人生の終盤を迎えた時のために準備をするなど、しておくことも沢山あります。特に終末期の意思表示をしておくことは、家族への最後の贈り物になります。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

 

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