2017年2月2日 第5号

 「認知症とアルツハイマー病は同じですか?」 認知症の話をすると、必ず受ける質問です。「認知症」とは、何かの病気により起こる症状や状態の総称で、その原因により名称が異なります。最も発症者が多い「アルツハイマー型認知症」は、認知症の種類のひとつです。

 認知症には様々な種類があるため、特徴的な症状も異なります。「三大認知症」を例にあげると、アルツハイマー型認知症では、初期の「物忘れ」が最も顕著な症状ですが、レビー小体型認知症では「幻視」や「うつ・抑うつ」、脳血管性認知症では「意識・自発性低下」や「感情失禁」(感情が溢れて止まらなくなること)が特徴的な症状です。認知症の症状は、他の病気と共通するものもあり、正しい診断が遅れ、認知症が進行してしまうこともあります。また、周囲の人が気付く頃には、かなり進行していることが多いのが現実です。

 このことからも、早期発見がとても重要ですが、初期段階では本人に変化の自覚があることも多いため、症状を上手く隠していたり、周りの人が兆候を見逃すこともあります。「かかりつけ医」に相談することもできますが、認知症の知識が乏しい医師だと、老化現象として片付けたり、誤診のおそれもあります。早い時期に「物忘れ外来」、「老年内科」、「神経内科」などの専門外来を受診することが大切です。特に、認知症予備軍といわれる「軽度認知障害(MCI/Mild Cognitive Impairment)」の段階で診断が出れば、認知機能の一部に問題が生じているものの、日常生活には支障がないため、認知症への進行を食い止めたり、発症を遅らせることができる場合もあります。

 一人暮らしの方の場合、定期的に習い事やイベントに参加し、地域のコミュニティーとの繋がりを持っておくことで、誰かが気付いてくれるはずです。もし、「あの人、認知症かも…」と気付いても、その人を避けたり、噂の種にするのではなく、友人、同じコミュニティーの一員として、相談に乗ったり、適切な地域団体に問い合わせてください。認知症はもう他人事ではありません。

 認知症と診断されても、人生は続きます。確実に進行しますが、急に何もできなくなるわけではなく、感情は最後まで残ります。進行するほど、周りの支援が必要になります。支援を受けるためには、隠れても、隠しても仕方がないのです。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

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