2017年2月9日 第6号

 あれっ、今朝、何食べたっけ?

 確かに食べたことは覚えていても、何を食べたかすぐには思い出せないこと、ありませんか。考えているうちに思い出したり、暫くしてから思い出せたら、とりあえず安心してください。何を食べたかという「出来事の一部」を忘れてしまっただけで、食べたという「出来事そのもの」は覚えています。これは、加齢による物忘れと考えられます。しかし、食べたこと自体を忘れてしまっていると、認知症による物忘れかもしれません。この場合、体験した「出来事そのもの」の記憶、つまり短期記憶に障害が起きています。

 記憶力は、20代をピークに加齢とともに減退します。ところが、それ以外の能力は、20代以降も発達し、知能全体では50歳位まで伸び続けるといわれています。しかし、60歳を過ぎる頃になると、記憶力に加え、判断力・適応力などに衰えがみえ始めます。記憶力の低下に伴って、物忘れも多くなります。

 初めのうちは、「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」の区別はつきにくいものですが、その違いは、次第にはっきりしてきます。例えば、お姑さんが、「うちの嫁は鬼嫁で、何も食べさせてくれない」と、ご近所に触れ回るようになったら、ただの「嫁いびり」ではなく、認知症かもしれません。他にも、切ったばかりの電話の相手の名前を忘れたり、同じことを何度も繰り返す、しまい忘れや置き忘れが増え、探し物ばかりしている、薬を飲み忘れて薬が余るようになるなどの変化に気付いたら、早めに医師の診察を受けることが大切です。かかりつけ医や専門医の受診を勧めてください。

 「認知症による物忘れ」は、短期記憶の障害です。忘れていることに対して、本人に自覚はありません。出来事の体験そのものの記憶がないため、それが起きていないことになります。そこで、本人が認識する世界と、周囲の人が認識する世界にズレが生じます。本人にとって、自分が認識する世界が真実の世界なので、周囲の人が事実を伝えても、信じてくれません。言動を指摘すると、怒り出したり、不安を覚えたりして逆効果です。本人の言動を受け止めること、場合によっては、辻褄が合わなくても話を合わせることが、本人の安心に繋がり、お互いにストレスの少ない介護のきっかけになります。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

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