2018年5月3日 第18号

 名前を聞いただけで吐き気を催す、グロテスクなカクテルが、ユーコン州のドーソン・シティにあると言われています。その名を「Sourtoeカクテル」。「Sourtoe」と聞いて、読者のみなさんは、なんとなーく、何が入っているか、お分かりになったのではないでしょうか。Toeと言えば、足の指。動物の指くらいで、世界中から観光客が、根性試しや好奇心に駆られて、集まってくるわけはなく…。この指とはなんと、切断され、干からびた、人間の足の指が入ったカクテルなのです。レシピはいたって簡単。ウィスキーの中にミイラのような足の指、一本。真っ黒で、すっかり萎んでしまった足の指には、固くなった爪もしっかりと付いており、私なんかは、画像を見ただけで吐きそうになりますが、1973年に提供されてからすでに6万9千人もの人たちが挑戦したとのことです。

 「さっと早く飲むもよし。ゆっくり飲むもよし。だけど、指にはしっかりと口付けを」というルールがありますが、2013年には、口付けどころか、指をわざと呑み込んで、逃げた人がいたほどです。当時は、呑み込んだら500ドルの罰金となっていましたが、そう簡単に代わりとなる在庫があるわけもなく、このレジェンドも終わってしまうのでないかと町では大騒動になったそうです。(ちなみに翌日、呑み込んだ本人が、お店に戻ってきて、呑み込んでしまった指のかわりに、自分の足の指を切断して謝罪したいと申し込んだそうですが…)

 カクテルに使われる指が呑み込まれたり、古くなったり、壊れたりと、指一本でこのレジェンドを続けて行くのは難しいため、お店側は常に足の指の提供者を探しているとのこと。早速、今年2月には、ユーコン州で行われた、長距離バックカントリー・レースの際に、凍傷で足の指を3本失った冒険家に、指の提供をお願いしたというニュースも流れています。「それでは、足の指を3本、瓶に詰めて送ります」と返事をしたらしいですが、笑っていいのか悲しんでいいのか、微妙な気持ちになります。ちなみに「Sourtoeカクテル」は、ドーソン・シティのダウンタウンホテルでのみ提供されています。

 

 


 ■ 小倉マコ プロフィール

カナダ在住ライター。バンクーバー新報での「まるごとカナダ」「小倉マコのオタワ便り」コラムを始め、新聞記者、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。フェイスブックも始めました!読者の皆さんと繋がれたら嬉しいです。https://www.facebook.com/ogura.mako1

 

 

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