2017年5月4日 第18号
読者のみなさん、こんにちは。今月は久々に日本へ帰省し、時差ぼけと闘いながらのまるごとカナダ第20回となりました。
今回帰省するにあたって、妹から「カナダのネイティブアートをお土産として買ってきて」と頼まれ、かなり迷ってしまったのですが…、ネイティブアートと言われたら、皆さんは何を想像しますか?
やはりバンクーバーに住んでいると一番身近に感じるのはクイーンシャーロット島のハイダ族による、ハイダアートではないでしょうか。
バンクーバー国際空港では出国ゲート前にビル・リード氏作のモニュメント「The Spirit of Haida Gwaii 」(日本語名ハイダ・グワイの精神)が行きかう人の目を魅了しますし、同じものが現行の20ドル札の裏面にもデザインされていますよね。
もちろん、バンクーバーではお土産さんに行くとハイダアートが所狭しと並んでいます。
だから、やはり今回もお土産はハイダアートにしようかなと思ったのですが…オタワに住んでいると、バンクーバーほどハイダアートを目にする機会がないのが現状です。かわりに、こちらではイヌイットアートが観光客のにぎわうところではよく見かけられます。
イヌイットは、カナダの極北地域に住む先住民で、エスキモー系民族のひとつです。人種的には日本人と同じモンゴロイドといわれています。ソープストーンと呼ばれる柔らかい石の彫刻や版画が有名で、彼らの極北の環境(狩猟・漁労・採集を含む)を描写する独特のデザインが世界的に評価されているようです。そして、このたびカナダ建国150周年を記念して新10ドル札が登場しますが、イヌイットアーティストを代表するヌナブト準州のKenojuak Ashevak (1927〜2013)氏のOwl's Bouquetもデザインされているほどです。
それも関係し、今回はイヌイットアートのお土産を買って帰ることにしました。ハイダアートのように、イヌイットアートにも興味を持ってくれたらいいのですが…。
(小倉マコ)
■ 小倉マコ プロフィール
カナダ在住ライター。バンクーバー新報での「まるごとカナダ」「小倉マコのオタワ便り」コラムを始め、新聞記者、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。フェイスブックも始めました!読者の皆さんと繋がれたら嬉しいです。https://www.facebook.com/ogura.mako1