2016年8月25日 第35号

泉康雄

 何しろ雨がよく降る。今年の雨量はすでに昨年の3倍になっているという。バンクーバーに住んでいる時に経験した、あの「しとしと」雨ではない。「ザーザー」雨の豪雨である。言うなれば、ジョウロから落ちるような水ではなく、バケツから落ちてくるような水である。突然黒雲が空を覆って、嵐になって、アッという間に雨が落ちてくる。降ってくる、というような風情はない。「濡れていこう」というようなのんびりしたものではないし、傘も役に立たない。運転中にラジオから聞こえる「只今、カルガリー方面はサンダーストーム」という報告を最近は何度聞いたことだろう。天気予報では、普通の雨は「シャワー」それから「サンダーシャワー」そして「サンダーストーム」と分けているらしい。聞いているラジオステーションがカルガリーで、レスブリッジまでは200キロ離れた所の放送ではあるが、往々にしてレスブリッジの天候と同じようなことになる。「サンダーストーム」、つまり雷が伴う嵐と知って、急いで帰宅する。この夏は、そんなことが度々ある。

 ということで、夏になったら、のんびり我が家のバルコニーでもペイントしよう、と思っていた計画が今だに延び延びになっている。二階のバルコニーは小さなもので、数年前、知り合いの人がリノリュームできれいに修繕してくれた。下のバルコニーは幅4メートルほど、長さが9メートルある。3年前にペイントをしたが、すぐに、ところどころが剥げてしまった。去年はその剥げたところを部分的にペイントした。ところが一年で元の木阿弥。知り合いが見て、これは徹底的に古いペイントを剥がしてから塗りなおした方がよい、と忠告をしてくれて、「パワープレッシャー」というものを貸してくれた。水の力で古いペイントをはぎ取ってしまうのである。おかげできれいになったが、今度は腐っている部分が数ヶ所見えてきた。今まで気が付かなかったが、これはどうしても修理せねばならない、ということで、肝心の「ペイント塗り」までに相当時間をとられてしまった。そこにもって、この雨である。あーあー、いつになったら出来上がることやら。空のご機嫌をうかがう毎日になってしまった。

 

 

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