2018年3月1日 第9号
素晴らしいですね!昨日の生命を今日につなぎ明日へとつないでいく生命から次の時代、次の世代へとつなぐ生命を今貴女のおなかの中で育んでいるなんて何と素晴らしくかけがいのないことでしょう!夢にまで見た赤ちゃんの誕生を思い巡らせては男の子?それとも女の子?と思ってみたり…もっともっと夢はどんどん大きく広がって…きっとママの顔を見たらにっこり笑って…一緒に遊んで一緒にお昼寝して…歩くようになったらちっちゃな靴をはいてヨチヨチ歩いて近くの公園で日向ぼっこ…保育園に行くようになったら…どんどん夢は大きく大きくなって際限がありませんね!でもこれが人生の中で与えられる大きな奇跡のひとつなのかも知れません。大きな幸せに包まれて毎日を過ごす事ができるのです。大切に大切にしても、決して大切にしすぎる事はないのです。
でも、この大切な奇跡を成し遂げる前にチョッとだけ注意していただきたいことがいくつかあります。妊娠の初期に注意していただきたいのは最終月経の開始日をメモしておくことです。メモしておくと大変役に立つことが多いのです。記憶は意外と不確かになりがちですので是非とも何かに記録なさる事をお勧めします。手帳とか日記帳とか家計簿やカレンダーなど何でも結構ですのでメモしておかれると良いと思います。出産予定日を計算する上でも必要ですし現在の妊娠週数を知るうえでも必要になってきます。妊娠週数に比べて赤ちゃんが大きいのか小さいのか(発育が良すぎるのか反対に悪すぎるのか)あるいは本当の予定日を知っておかないと予定日超過なのか否かを(過期産になると胎盤の機能が低下して胎児に危険を及ぼしかねない)決めかねますし、妊娠週数の確定はすべて妊娠の経過の把握に限らず妊娠の終了時期の決定をする上でも基本になるからです。
つわりを感じた日(おおよそ妊娠6 週ぐらい)を大体覚えておくと役に立つ事も有りますが個人差が大きく、時には“つわり”を感じない方もおられるのであくまで参考程度に留めるべきでしょう。また、妊娠初期に下腹部に重い感じや痛みを感じる方もおられます。痛みが持続したり周期的だったり急激だったり出血を伴ったりすれば異常妊娠の可能性が高くなる事は容易に推察できるかもしれませんが、全く症状を伴わない異常妊娠もあります。妊娠する可能性のある方は面倒でも基礎体温を測ることも結構役に立ちますのでお勧めです。
体温の測り方はご存知とは思いますが体温計は婦人体温計を使います。朝、目が覚めたら動き回る前に舌下で体温を測ります。体温計によって若干の使用方法が異なることがありますので購入された体温計の使用方法案内に従って使って下さい。計測した体温をグラフにすると低温期と高温期に分かれます。高温期が三週間以上続いていれば妊娠に関係した状態にあることを示唆します。勿論、絶対多数は正常妊娠ですがなかには不幸な経過を辿ることもありますので、妊娠が強く示唆される状態であれば速やかに医療機関を受診する必要があります。妊娠期間を便宜上、初期・中期・後期と分けることがありますが、どの時期が重要で、どの時期が重要でないかを表現しているのではなく各々の時期で特に注意を払わなくてはならないことが若干違うだけで、すべての時期が最重要であることに変わりがありません。あまりに気を配りすぎて神経質になり過ぎる必要はありませんが、あまりに無関心でも困ります。
妊婦検診で自分を守り赤ちゃんを守り待ちに待った新しい生命を無事に迎え貴女の周りでは親子の健やかな笑顔を待ち望んでいるのです。肩の力を抜いて、明るい明日を胸に秘め妊娠生活をかけがえのない時間にしましょう。もうすぐ赤ちゃんに会えるのですから!!
杉原 義信(すぎはら よしのぶ)
1948年横浜市生まれ。名古屋市立大学卒業後慶応大学病院、東海大学病院、東海大学大磯病院を経て、杉原産婦人科医院を開設。 妊娠・出産や婦人科疾患を主体に地域医療に従事。2009年1月、大自然に抱かれたカナダ・バンクーバーに遊学。