2020年2月27日 第9号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は18日、来年度の予算案を発表した。2021年には選挙を迎えるBC州だが、大盤振る舞いな予算案ではなく、州民が直面している問題を解決するための予算を継続したとキャロル・ジェームズ財務相が総括した。

 BC州経済は成長しているが緩やかと表現したジェームズ財務相は、2020年度は2億300万ドルの黒字と予測。新課税の導入や高額所得者への増税で歳入を増やす。一方で子どもを持つ世帯や学生への支援、環境問題、先住民族との和解策などに予算を費やしている。

 歳入では、年間22万ドル以上の所得がある高額所得者を対象に、個人所得税を16・8パーセントから20・5パーセントへ引き上げる。今年度の対象範囲内高額所得者の所得税による歳入は、5400万ドルと試算されているが、来年度は2億1600万ドルになると予測されている。ジェームズ財務相は、州内の高額所得者のトップ1パーセントの人々に少し余分に税金を払ってもらって、BC州の家庭やコミュニティがより良いサービスを受けられるようにサポートしてもらうと語った。

 さらに甘味炭酸飲料に州税を導入することも明らかにした。調査によると、14歳から18歳が最も甘味炭酸飲料を消費しているとジェームズ財務相。医療従事者やユース問題の専門家などからは、長い間導入を切望されていたと説明した。財務省によると、過去7年間にわたって導入を要望されていたという。子どもの肥満問題を訴える専門家の中には、州税導入程度で10代の炭酸飲料消費量が減少するかは疑問との声も上がっているが、第1歩としては評価するとして概ね前向きに捉えられている。

 導入は今年7月1日から。州税7パーセントが甘味炭酸飲料に加算される。小売店での販売のほか、自動販売機、ファーストフード店でのポップ・ファウンテン(炭酸飲料を自分でコップに注ぐ機械)も対象となる。これにより、7月の導入からでも2020年度には2700万ドルの歳入が見込まれている。

 現在BC州新民主党政権が大改革を実行しているBC州自動車保険会社ICBCは、今年度は9100万ドルの赤字となるが、来年度は8600万ドルの黒字を見込んでいる。

 そのほか、加熱式タバコ製品にも29・5パーセントが課税される。導入は4月から。

 支出では、住宅問題を解決するための予算は大きくは盛り込まれず、政権交代時に約束した賃貸住宅者への400ドルの支援は今回も盛り込まれなかった。

 一昨年にBC州各地で発生した山火事や洪水などに考慮して、今年も自然災害への緊急対策費として6500万ドルが盛り込まれた。

 環境対策では、温室効果ガス排出量ゼロ車購入時の支援として2千万ドル、自宅や職場に充電ステーションを建設するための支援として500万ドルが充てられている。

 

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