2020年1月16日 第3号

 カナダ銀行スティーブン・ポロズ総裁は9日バンクーバーで講演し、新5ドル紙幣に印刷される人物の候補を広く募集すると明らかにした。現在の5ドル紙幣には、カナダで初めてフランス語圏首相となったウィルフリド・ローリエ元首相が描かれている。

 新しく5ドル紙幣の顔となる人物の推薦方法は、前回の新10ドル札発行時と同じになる予定という。新10ドル札にはノバスコシア州で人種差別と闘った黒人女性ヴィオラ・デズモンド氏が、国民の推薦を経て財務大臣の決定で採用された。2018年から使用されている。

 今回の新5ドル紙幣についてポロズ総裁が公表して以降、さまざまな候補者の声が上がっているが、最も多いのがブリティッシュ・コロンビア州ポート・コキットラム出身のテリー・フォックス氏だという。

 フォックス氏は高校生の時にガンで片足を失い、それでもガン研究のための寄付を集めるために1980年に義足で一人でカナダ横断を決行したカナダ人なら誰もが知る人物。カナダ横断は1981年にガンが再発したため中断され、フォックス氏はカナダ横断を実現できないまま22歳の若さでこの世を去った。しかし、彼の意思を継ぎ、現在はテリー・フォックス・ランとしてカナダ全国のみならず、世界中でチャリティイベントランニングが開催されている。

 そのきっかけとなったフォックス氏を新5ドル紙幣のデザインに推す運動がすでに始まっているという。

 ポロズ総裁は、公募方法は今月中に発表するとしている。今回カナダ銀行が新5ドル紙幣を発行する理由として、新セキュリティ機能を導入するためと説明している。

 

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