2019年7月25日 第30号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府が訴えていたアルバータ州政府の石油輸送停止法について、アルバータ州裁判所は連邦裁判所で争うことが適当との判断を19日に下した。州境を越える案件については連邦裁判所の管轄との認識を示した。
アルバータ州政府は、アルバータ州から輸送されている石油を州政府の判断で停止することができる法案を可決。必要となればBC州に対して適用する用意があるとしていた。
これに対してBC州政府は、法律は石油輸送を制限することによりBC州民の生活に支障をきたすことを目的として可決されたものであるとして、憲法違反であることを認識すること、法律の差し止めを命令することを求めていた。
今回のアルバータ州裁判所の判断についてBC州政府デイビッド・イービー司法長官は、決定を精査すると語っている。BC州はすでに同様の訴えを連邦裁判所に提出している。
アルバータ州政府は裁判所の判断を「歓迎する」との声明を発表。連邦裁判所でアルバータ州の主張を示せることを期待していると語っている。
BC州とアルバータ州は、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事を巡って昨年から対立している。
同パイプラインはアルバータ州エドモントンからBC州バーナビーまで延びている現存のパイプラインを拡張する事業計画で、2016年に自由党政権が1度承認した。しかし2018年1月に、BC州政府は州内を通るパイプラインについては州の環境基準強化する政策を発表。これがパイプライン事業を遅らせアルバータ州経済に大きな打撃を与えるとアルバータ州とBC州の対立が始まった。
一方で2018年8月にはパイプライン反対派の先住民族や環境保護団体らの訴えに対して、連邦上訴裁判所がパイプライン承認について、先住民族への説明不足と海洋動物への保護政策が不十分として事業計画承認を無効とする判断を下した。
アルバータ州政府はBC州政府の事業遅延政策への報復として石油輸送停止法案を今年可決した。
事業無効の判決に連邦政府は改善に努めるとの姿勢を見せ、今年6月には先住民族への説明と環境対策が整ったとして事業の再承認をした。自由党政権は昨年45億ドルで現存するトランスマウンテン・パイプラインを買収している。