2019年7月18日 第29号
ジョン・マッカラム元在中国カナダ大使が、中国の外務省関係者にこれ以上カナダへの締め付けを強めると保守党を助けることになると語ったと10日付の香港サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が伝えた。
保守党の方が自由党よりも中国政策で厳しいため、秋の総選挙で保守党が政権を取ることは中国にとっても利益がないとの内容だったと伝えている。
これについて11日クリスティア・フリーランド外務相は、マッカラム元大使の発言はカナダ政府を代弁するものではないと強調。カナダ国籍の人間が外国政府に対して、その外国政府に利益となるカナダ国内の選挙結果を得るために、これをすべき、もしくは、これはしない方がいいといったアドバイスや意見を述べるのは、「非常に不適切」と語った。
マッカラム元大使は、昨年12月にブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港で拘束された中国通信大手ファーウェイ孟晩舟CFOのアメリカへの身柄引渡手続きについて、孟CFO側が有利との見解をカナダ国内で中国向けメディアに発信した。これが不適切と批判を浴び、今年1月に大使を解任されている。カナダ政府は未だ新大使を任命していない。
孟CFOの身柄拘束以降、カナダと中国の関係は硬直した状態が続いている。中国では昨年2人のカナダ人男性が拘束され、今年に入り中国がカナダからのキャノーラ製品と牛肉・豚肉製品の輸入を停止している。
このマッカラム元大使の発言に対して野党第一党の保守党アンドリュー・シェア党首は、自由党要人が10月の選挙で自由党政権が再選されるよう中国政府に働きかけるような発言を断じて許すわけにはいかないと語り、外国政府にカナダ選挙への介入を要請するようなものだと批判した。
12日には保守党議員らがCSIS(カナダ安全情報局)にマッカラム元大使の発言はカナダの民主主義を脅かすものだとして調査するよう要請する書簡を送ったことを明らかにした。
マッカラム元大使は、在中国カナダ大使に任命されるまでは長く自由党議員として務め、ジャスティン・トルドー政権では移民大臣を務めた。