2019年6月27日 第26号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市に住むジェイソン・チャンさんが先月、自転車に乗っている最中に財布を落としたのは、同市内のキャンビー・ロードとNo・5ロードの交差点付近だった。後からこのことに気がついたチャンさんは、探すことはあきらめて、財布の中にあった銀行カードやクレジットカードの解約と、自動車免許証の再発行手続きを進めることにした。

 そしてそれからちょうど1カ月たった11日、チャンさんのもとに郵便物が届いた。消印は、オンタリオ州トロント市の東部、スカボローのものだった。緩衝材入りの封筒の中に入っていたのは、紛れもなく彼が落とした財布だった。さらにチャンさんが驚いたのは、カード類が1枚も失われていなかったことだ。もちろん免許証も無事だった。また現金はもともと財布の中には入っていなかったという。

 チャンさん自身は、財布探しのために何かしたような覚えはなかったが、これにはとても驚いたと、取材に話している。「どこの誰かは知る由もないが、感謝せずにはいられない。小さなことかも知れないが、私にとってはとてもありがたいことだ」と語るチャンさん。

 財布に添えられていたカナダ・ポストからのメモには、配達不能の郵便を調査するオフィスが、財布の中にあった免許証の住所に返送することにしたと書かれていた。カナダポストの規定により、配達不能の郵便物で金銭的価値があるものは、その状況調査を行うため全てスカボローの郵便局に集められることになっている。

 自分の財布を拾った誰かが、そのまま郵便ポストに投函したのだろうとチャンさんは推測する。その結果、財布は片道4千キロ以上になるカナダ横断の旅を果たして、再び自分のところに、無事に戻ってきた。チャンさんはメディアを通じ、財布を拾って投函した人と、その後財布を自分の元に送り返す処理を行ってくれたカナダ・ポストの従業員に感謝の言葉を述べていた。またこのことで、人間性やコミュニティに対する信頼を強めることができたとも語っていた。

 

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