2019年6月27日 第26号

 カナダの国会が20日に閉会した。今年は総選挙の年にあたるため、9月16日の再開を待たずに10月に予定されている選挙に突入する可能性が高いとみられている。

 そのため各党は、国会会期中に間に合わせるように政策を発表。夏の非公式な選挙戦に訴える構えを見せている。

 自由党は18日に、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画承認を発表。その前日には気候変動緊急動議を発動し、経済と環境の両立を訴えた。自由党は支持率で現在、野党保守党にリードされている。次期選挙で政権維持を実現するためにも、経済だけではなく若者の関心が高い環境問題への対策も重要との位置づけで環境政策の充実を訴えていくとみられる。

 野党保守党も、これまでは環境問題を無視した政策が目立ったが、19日アンドリュー・シェア党首が環境対策を発表した。自由党が実施した炭素税に反対する保守党は、炭素税抜きでもパリ協定を実現できる環境政策と自信をみせている。クリーンテクノロジーへの投資や、よりクリーンなエネルギーを輸出することで他国の排出量を削減させる対策などが盛り込まれている。しかし実際にカナダの排出量が削減されるのか不透明で環境活動家からは天然資源産業が提案した環境対策を真似ただけと批判を浴びている。

 新民主党(NDP)は健康保険の拡大やファーマケア、住宅問題の解消を訴えた政策とパイプライン建設を反対する環境対策を発表している。しかし、これまでのところ支持率が回復する兆しは見えていない。

 グリーン党は自分たちの政策が最も環境対策と経済発展を両立させた内容と主張している。最近の選挙で連邦、州政府ともに議席を伸ばしているグリーン党。この勢いが保守党にさえも環境問題対策を選挙前に発表させる要因の一つになっていると考えられている。

 この夏は激しい選挙戦になるとみられている。

 

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