2019年6月13日 第24号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市で9日、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画に反対するデモが開かれた。フォールスクリークに集まった約500人がジャスティン・トルドー首相に対して、計画を承認しないように呼びかけた。
トランスマウンテン・パイプライン拡張計画は、アルバータ州エドモントン近郊からBC州バーナビー市のターミナルまで延びるアルバータのオイルサンドを運ぶパイプラインを拡張する事業計画。完成すれば、オイルサンド輸送量は1日89万バレルと現在の3倍になり、バーナビー市のターミナルからオイルサンドを運ぶタンカー航行数は、現在の月5隻から毎日1隻に増加する。そのため、事故の危険性が増し、海洋生物への影響が計り知れないと反対派は主張している。
同パイプライン事業は2016年に一度トルドー政権が承認したものの、昨年8月に連邦上訴裁判所が、海洋生物への影響への調査と先住民族への説明責任が不足として承認を無効とし、連邦政府は改めて海洋への影響調査をカナダエネルギー委員会に指示。今年2月22日に同委員会は、経済的貢献が大きいとして条件付きながら事業を承認した。
それを受けトルドー政権は今月18日までに事業を継続するか否かを決定する。
バンクーバーでは、BC州政府をはじめ、環境活動家、先住民族、バンクーバー市、バーナビー市などが事業に反対を表明、反対運動が続いている。
今回参加した先住民族のBCインディアン・チーフ・ユニオン代表ジュディ・ウィルソン氏は、裁判所の判決が出たにもかかわらず連邦政府は相変わらず説明不足のままと語り、もし仮に政府が承認しても最後まで対抗すると語っている。