2019年5月30日 第22号

 50年前の今月25日、元ビートルズのメンバー、ジョン・レノンは妻のオノ・ヨーコとともに、パジャマ姿で平和を訴える1週間のイベント『ベッド・イン』を、ケベック州モントリオール市のホテルで始めた。

 舞台となったのは、同市中心街にあるフェアモント・ザ・クイーンエリザベス・ホテルの1742号室。寝間着姿になった2人は、この部屋のベッドでくつろぎながら、詰めかけた報道陣や当時隆盛を極めた反体制文化の指導者らを迎え、世界へ平和のメッセージを発信した。また、ジョン・レノンのソロデビュー曲で大ヒットした『平和を我らに(Give Peace a Chance)』のレコーディングも、この時なされている。

 同ホテルは50周年を記念して、この部屋を当時の面影をしのばせるデザインに改装した。半世紀が過ぎてジョン・レノンを知らない世代が増える中、そうした若い人たちにも、この時のレノンとヨーコの雰囲気を味わい理解してもらいたかったと、同ホテルの報道担当ジョアン・パピノーさんは取材に説明している。

 内装にはビンテージの録音機器のほか、花柄のティーカップセット、また当時の二人がベッドに寝ころびながら、老子道徳経の英訳版(The Way of Life)を見入っている場面や、花のにおいをかいでいる場面などを撮った写真が飾られている。また清掃係が「廊下と室内は非常に汚れ、花びらがそこら中に散らかっている」と書き残した、当時のハウスキーピング記録も展示されている。

 またホテルのロビーには、ジョン・レノンが当時運転していたのと同じタイプの白いロールスロイスも展示されている。

 同ホテルのウェブサイトによると、この1742号室の特別デザインは6月1日より12月31日までの期間限定で、宿泊費は1泊2999カナダドルからとのこと。

 

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