2019年5月9日 第19号
メジャーリーグサッカー(MLS)のバンクーバー・ホワイトキャップスFCは、今年2月に元ホワイトキャップス女子選手が自身のブログで告発した元コーチのセクハラ行為について、5月2日にチームとしての対応が不適切だったと謝罪したものの、ファンからは納得できないとの声が聞こえている。
謝罪文は、共同オーナーのグレッグ・カーフット氏とジェフ・マレット氏の二人の名前と署名入りで公表された。
しかし、チームの対応に疑問の声が上がっている。声明文が発表される前日にはマレット氏が記者会見したが、一部のメディアのみが参加を許され、大手メディアでホワイトキャップスの今回のセクハラ問題を否定的に伝えたメディアは参加することができなかったという。
ホワイトキャップスを熱烈に応援するファンクラブ、バンクーバー・サウスサイダーズの代表は、今回の件でチーム関係者と話し合いをもった際に、この件でできるだけ情報を公開するように求めたが、1日の記者会見ではそれすら実行されていなかったと批判するコメントをメディアを通じて語っている。
今回のセクハラ問題は、2008年にホワイトキャップス女子チーム、および女子カナダU-20候補選手の元コーチが、当時の選手にセクハラ行為をしていたことが、今年の2月にシエラ・マッコーマック元選手が自身のブログで告発して、明らかになった。その後、マッコーマック選手以外にも10人以上の元選手が同様に告発。2008年当時にも、ホワイトキャップスとサッカーカナダに訴えたが、元コーチは2008年シーズンが終了するまでコーチとしてチームにとどまっていた。
ホワイトキャップスは今年4月に発表した声明では、元コーチとは円満に契約を終了したと発表していたが、今回の説明では2008年10月8日で「解任した」としている。
この元コーチは、ホワイトキャップスのあと、メトロバンクーバーのいくつかのコミュニティ女子サッカーチームで今年初めまでコーチを務めていた。
今回のホワイトキャップスの対応に不満をもつサウスサイダーズは、4月のホームゲームの2試合で前半の観戦をボイコットしてチームにメッセージを送った。5月のホームゲームでも同様のボイコットを行うかは検討中としている。試合の前半のみボイコットしている理由については、現在の選手は関係がないため、ホームでファンの応援を受ける権利があるとしている。