2019年4月11日 第15号
ジャスティン・トルドー首相と自由党の支持率が下落し続けている。世論調査会社ナノスが9日に発表した報告によると、自由党の支持率は32・8パーセントで1週間前の34・6パーセントから下落。4週間前は34・2パーセント、3カ月前は38・7パーセントと下落を続けている。
一方、野党第一党保守党の支持率は34・9パーセントで自由党をややリード。1週間前は35・1パーセント、4週間前は34・7パーセント、3カ月前は33・3パーセントで、1カ月前に自由党を抜いている。
新民主党(NDP)は自由党支持が下落しているにもかかわらず相変わらず伸び悩み、支持率は16・6パーセント、1週間前と変わらず、4週間前は15・5パーセント、3カ月前は16・7パーセントだった。グリーン党は9・5パーセント、1週間前は4・6パーセント、4週間前は9・1パーセント、3カ月前は6・0パーセントで、徐々に支持率を伸ばしている。ケベック連合党は4・0パーセントでほとんど変わっていない。昨年誕生したカナダ国民党は0・5パーセントだった。
首相にふさしい党首はとの回答では、トルドー首相と答えたのは30・7パーセントで最も多く、次いで保守党アンドリュー・シェア党首27・2パーセント、NDPジャグミード・シング党首8・4パーセント、グリーン党エリザベス・メイ党首7・6パーセント。カナダ国民党マキシーム・ベニエ党首は2・3パーセントだった。トルドー首相は3カ月前には39・3パーセントだったが急落している。一方でシェア党首は3カ月前の23・5パーセントから約4パーセント上昇している。
3月28日世論会社イプソスが発表した結果では、格差はさらに広がっている。自由党を支持するとしたのは30パーセントで、保守党の40パーセントに10パーセントの差をつけられている。NDPは21パーセント。地域別ではその差はさらに大きく、オンタリオ州では保守党が40パーセントだったのに対し、自由党は28パーセントでNDPと並んでいる。この傾向はブリティッシュ・コロンビア州でもみられた。自由党が唯一、圧倒的にリードしているのはケベック州。アルバータ州では保守党が支持率で圧倒している。
トルドー自由党は2015年10月の総選挙で圧勝し、政権発足直後は閣僚を男女同数にしたり、環境問題への積極的な取り組みを表明したり、広く移民・難民を受け入れる姿勢を見せたりと前保守党政権とは異なった政策で支持率も高かった。しかし外交政策やトランスマウンテンパイプライン拡張工事計画問題などで綻びが現れ始めると、支持率は徐々に下降。さらに炭素税の導入、今年2月に発覚したSNCラバランスキャンダルでトルドー首相本人と自由党への支持は大きく揺らいでいる。
現在の支持率では僅差で保守党が政権を取る可能性が高い。総選挙は今年10月に予定されている。